「【虚飾の人生を生きる男が、どんどん心の闇に引き込まれて行く姿に戦慄した作品。アートの皮を被った嫌な嫌な気持ちになる猛毒ムービー。】」メインストリーム NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【虚飾の人生を生きる男が、どんどん心の闇に引き込まれて行く姿に戦慄した作品。アートの皮を被った嫌な嫌な気持ちになる猛毒ムービー。】
- 今作品のテーマはSNSに呑み込まれている現代社会に対する痛烈な皮肉と問題提起である。だが、それ以上に恐ろしいのは、劇中でも明かされるリンク(アンドリュー・ガーフィールド)の破綻した人間性が露になって行く過程の描き方である。-
◆感想
・冴えない日々を生きるフランキー(マヤ・ホーク)。ある日、街中で着ぐるみ男リンクと出会い、同じバーで働くジェイク(ナット・ウルフ)と組んで、ユーチューバーとして、名を上げて行く。
- 序盤のアンドリュー・ガーフィールドが善人なのか、只の変わり者なのか、そもそも何者なのかがワカラナイ、リンクを怪演している。"スマホを捨て、本当の自分を見せろ!"と言ったり・・だが、最後半にこの言葉のシニカルな意味が、分かるのである。-
・自分達の番組を持った3人。悪乗りしたリンクが、セレブの女性イザベルの素顔を無理矢理フォロワーに送らせるシーン。
- 近年、稀に見る、嫌な嫌なシーンである。アンドリュー・ガーフィールドの意地悪で流暢な言葉で会場及び配信で見ている者達を煽る姿。-
・リンクの暴走に嫌気が差し、辞めるジェイク。良心の呵責とリンクへの微かな信頼に揺れるフランキーの姿が、印象的であるし、彼らがマトモな人間である事も、良く分かる。
<ラスト、生配信でリンクが煌びやかなステージで言った言葉。
イザベルに謝罪の言葉を贈るも、その後の猛毒コメントの数々。
"お前等が殺したんだよ!"
そして、マサカの彼のフォロワー達からの拍手喝采。
第四の壁を乗り越えて、観る側にニヤリと笑うリンク(アンドリュー・ガーフィールド)の素顔はメインストリームで生きる為に悪魔に心を売ったサイコパスにしか、見えなかった作品である。>