ぬけろ、メビウス!!のレビュー・感想・評価
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明確な主張ある作品
主人公優子の心情がよく描かれている。
自分の世界で生きる出来事すべては自分の所為
この普遍的な観点を中心にした作品
さて、
この作品の作りそのものは多少甘い。
しかし、脚本はしっかりしている。
主人公優子
彼女の今現在の立場は、十分恵まれている。
しかしそれはすべて母の力
恵まれていても、自分が望んだことじゃないという思いが、優子の違和感を助長させる。
契約社員 婚約者 結婚式場の手配等々 すべて母によって遂行されていることに我慢できなくなる。
「全部お母さんの所為にしてしまう」
この言葉がこの作品の中心点だと思う。
優子は今まで生きてきて何かに真剣に取り組んだことはほぼなかった。
目の前にある楽しいことばかりを追いかけていた。
そうして今の自分がある。
でもその自分の今が気に入らない。
優子にはそれでも違和感をぬぐい捨てることができなかった。
母が決めた人生 専門学校も就職先も恋人も結婚式場さえも
不自由のない生活
でもそこに自分の意思はない。
どんなに他人から羨ましく思われても、そこに自分の意思がないというのは、どんなにつまらないものだろう。
したくしていているんじゃない。
この虚しさ
しかしそれは優子が気づいた「真実」
それなのに、
青山エイトとの出会いによって、再び触れる心
自分が出会ったこの事実は、本物だと思ってしまった。
人生によくありがちなミスリード
それそのものに「落ち」はないが、それを選択することで起きるであろう落とし穴。
「ナツキと付き合うな」
優子によってナツキは無二の親友
それを切ることなどできない。
この優子の強い意思こそ、彼女の中にあった唯一の方位磁針
これによって優子は何が間違っているのかはっきりする。
しかし同時に両方の男から絶縁される。
このことが、優子に夢を追いかけさせる原動力になる。
優子を見守る太一だったが、「また付き合うのは、ない」と明言される。
メビウスの輪
この奇妙なもの
メビウスの輪は、中心線を切ればねじれが2つになり、また切れば3つになる。
太一は「中心を切る」という言葉に輪をちぎって線にしてしまった。
「全然こんがらないんだけど」
「問題」とは如何に単純なのだろう。
問題を問題と考える限り、事態は余計にこんがらがる。
しかし、実際問題とは簡単に解決できる。
なぜなら、
すべての問題は、本人の頭の中だけで起きているからだ。
受験当日、優子は受験に反対する母の部屋の前で、自分の思いを告白する。
「……だから私の人生をお母さんの所為にしない」
ようやく自分自身を取り戻した優子の成長ものだたり。
非常にまじめな作品
実際には難しいからこそ惹かれるものがあるのかも
なるほど、それでこのタイトルなのね!共感性は低かった主人公が次第に馬鹿に出来なくなる感じ、決心って他人を巻き込む程の熱量を持っていなくては、と改めて思った。幸あれ。
期待していたよりもカメラワークとかに難があって序盤はダメかな…と思っていたけど、きちんと尻上がりに面白くなっていったから安心。続かない、浮気性、夢想家…。自分に対しての自信がない分誰かに依存したくなる像は凄く現代的で、逃れられないことへの諦めも1つあったりする。そこのディティールが立体的。ただ、コミカルに振りたいのか、真剣に描きたいのか微妙な序盤は若干勿体なかった。
しかし、次第に過ちに気づき、失ったものの大きさに気づいた時、人が持つギアは想像を上回りながら走り出していく。努力をバカにすることは出来ないから。その熱量をジワジワと画面から感じる時、こんがらがった世界を解く糸口を見つけるのであった。
主演は坂ノ上茜さん。『愛ちゃん物語♡』でも強烈で大胆なコメディエンヌな雰囲気が似合っていたが、本作も雰囲気が凄く良い。足りない主人公だが突き進む感覚、意外とバランスが難しい役どころでも、ピシッと詰める。そういった所に演技としての信頼を感じる。
終わり方がすごく好き。もちろん書かないけども。いつの間に引かれたレールの上を走ることに慣れた中、その輪から抜け出すのはなかなか難しい。そこにチャレンジする作風が何より素晴らしかった。何度やり直していいはずの人生なのだから。
自分と向き合うということ
2023年劇場鑑賞10本目 傑作 76点
予告に惹かれて劇場鑑賞したミニシアター邦画
遅咲き青春映画ということで契約社員の5年ルールと長らく付き合っている彼氏との結婚を考える時期と相まって、今後をどう生きて行こうか嫌でも考える時期に直面するドラマを描いています
当方が期待値が低く前情報少なめで鑑賞した作品に弱いのもありますが、すごく刺さった
主人公が同世代の設定なのと教員を目指していたこと、長い恋人がいること、長らく契約社員をしていること、ほぼ全ての設定が当てはまり、それだけで共感性というか、スクリーンが鏡なのではないかと錯覚するほどの再現度で、没入したのを覚えています
良いとこの彼と出逢ったり、その人に対しての接し方でクズが滲み出てしまったり、それによって友人を失いかけたり、受験勉強に努めるシーン、長く付き合って仕事が忙しくなってきてもそれなりに円満な彼との仲、それぞれのシーンがちゃんと省くことなく使われており、ちゃんと説得力がありました
ミニシアターなのでアマプラ等で見れる様になるかわかりませんが、また必ず観たい、残る作品になりました
是非
小学校でメビウス教わった気が…。
静岡の実家で母親と暮らし建設会社の契約社員として働く24歳の女性が雇い止めを告げられて東京の大学に行くと言い始める話。
上司に呼ばれて行ってみると契約社員の5年問題の話しになり、何故か一瞬喜んで…って世間知らずにも程がある。
そして嘗ての夢だった教職を目指して大学進学!かと思ったら、出来れば教育学部って…。
その場しのぎで上手く行かないことは全部人のせい。
そんな自分を変えたいのは判ったけれど、なんだかこの人の場合言い訳の種が一つ減るだけじゃ?借りに大学に行けたって、今度は学校のランクの話しだってある訳だしと感じてしまう。
一生懸命何かに向き合ったということが云々言っていたけれど、頑張ったかどうかは自分が評価するものではないんだけどね…確かに最近の人はそういう人多いけれど、変われると良いですね。
終盤急に掌返したけれど、この母親も大概だよね。まあ実際いそうだけど。
途中の浮かれポンチ描写の長さが結構ダルかった。
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