「生き方を貫こうが変えようが、鳥瞰するものが頂点に立つ」JOINT R41さんの映画レビュー(感想・評価)
生き方を貫こうが変えようが、鳥瞰するものが頂点に立つ
秀逸なプロット
ヤクザが絡むがヤクザだけではなく、ビジネスが絡むが詐欺も絡む。
「生き方」 生き様 物事の考え方
生き方に筋が通っていれば「良し」とされがちだが、危険でもある。
変えられない人も大勢いる。
主人公の石神タケシも変えられないタイプなのだろう。
そもそもヤクザだった彼は、ヤクザ特有の考え方を持ち、その根幹を変えることなどできない人物。
移民マフィア「リュウドウ」
彼らは賢く、紳士的で残虐だ。
彼らはかねてからの目的だった大島会と手を組み、公共設備のルータにウィルスを仕込んですべての個人データを手に入れる。
そのために活躍するシステム「TITAN」も手中にした。
「もうこの国で我々が知らないことはない」
名も知られていないほどの組織が徐々に大きくなる様は、とても現実的だ。
ヤクザ内部の分裂はそれを後押ししている。それに気づきもしない。
タケシは堅気として仕事を始め徐々に軌道に乗るものの、個人情報を整理するシステムは彼にとっては諸刃の刃だった。
TITANを抜け、市川会と大島会の抗争に足を突っ込んでいく。
やがてかわいがっていた子分のユウキが市川会アラキに殺される。
ユウキの妻を守るために支度金を渡すが「ユウキの女なったとき、覚悟はできていた」と言ってお金を返される。
このシーンはタケシの心を大きく動かしたのだろう。
組員が殺されても何もしない組
一度縁を切った焼肉屋の仲間を頼り、リュウドウにたどり着く。
彼を知るリュウドウは、大島会長と会う段取りと引き換えにアラキを始末する約束をした。
しかしタケシは、自ら引き金を引く。
さて、
このタイトルは意味深だ。
公共設備の中に仕組まれたウィルス
インテリマフィアの最終目的は何だろう?
人脈もつながりがある。
システム会社が開発した「社会が便利になるツール」は、その目的のために使われるのではなく、個人情報を抜き取るための道具。
知るものと知らざる者
一般には誰も知らないところで起きている着々とした準備
そういうのは結構蔓延っているような気がしてくる。
脚本と構成がとてもよく練られていた。
犯罪を面白い角度から描いている。
暴力シーンを極力抑えているあたりもよかった。