劇場公開日 2021年12月24日

  • 予告編を見る

「音楽好きなら候補にはあがる一本かなぁ/今年見てよかった映画など」ヴォイス・オブ・ラブ yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0音楽好きなら候補にはあがる一本かなぁ/今年見てよかった映画など

2021年12月31日
PCから投稿

今年214本目(合計278本目)。
なぜかこの映画、大阪市では一律一週間遅れ。まぁ、超有名アニメと、99.9が押し押しで来ているので仕方なしかなぁという気がします(それでも第二の都市で1週間遅れってありなの?)。

 最初に「史実に基づく内容のフィクションものです」とは出ますが、登場人物の大半は史実として存在したのであり、あることないこと付け加えることは当然できませんので、実質的には「史実に基づいて多少追加した部分もある、準ノンフィクションもの」という考え方が妥当なのではないか…と思えます。

 物語自体にネタバレというネタバレがほぼなく、生まれて活躍し、それから…という部分を年齢別に描くような展開になっているので(原則、逆戻し処理はない)、混乱の要素はほぼない一方で、「準フィクションともいえるドキュメンタリー映画」の様相なので、見る人はかなり選ぶのかなと思います。この方を知っている方や音楽に普段から接している方、楽器の演奏の経験がある方(私は3番目の類型)などが主なターゲットになるのだろうと思います。

 正直なところ、ネタバレというネタバレもなければストーリーというストーリーも存在しないので(事実上、年齢別に沿った史実にほぼ即する準フィクションものという扱いなので、あれこれ書くとネタバレどころか、映画の性質上、著作権上問題になってしまう)、正直書きようがないというところです。

映画内で選択される(流される)曲が、彼女の実際の曲に合わせてその時のムードに合わせたもの、というご意見もありましたが、そこはその通りかなと思います(一部、著作権が切れた古典音楽などもある模様?)。
一方で逆に言えば、彼女の生まれから活躍までを描く内容でドキュメンタリー映画というカテゴリで、音楽映画というカテゴリにはなりにくい(まぁ、音楽映画と言うなというのも無理)ので、「曲をたくさん聴ける」ということではない、というのは注意です(せいぜい数曲くらいしか出ません)。

なお、タイトルこそ英語ですが、字幕の大半はフランス語で、当時は「フランス語より英語を習得しないと活躍の道が制限される」という事情があったので(映画内/史実も同じ。舞台が大半アメリカであり、英語がこの当時は事実上世界標準語という状態にもなっていた)、途中から英語も出ますが、英語の部分は<~~>で囲まれており、そこははっきりします(このように、フランス語から英語に移ったという経緯があるため、英語とフランス語がごちゃ混ぜになった謎の言語を話すシーンもあるが、それも第二外国語の学習過程ではありがちなことであり、そこも支離滅裂にわからないというのではないので、減点なし)。

採点に関しては特に差し引く要素はないので、満点にしました。

------------------------------------------------------
▼ 今年観てよかった映画など

 ・ プリテンダーズ: 適正なSNSの使い方、男女同権思想など。ミニシアター中心ですが、丁寧に作られており、好印象です。

 ・ カム・アンド・ゴー: 将来、外国人問題を扱いたいなと思う行政書士試験合格者視点で。大阪市は外国人問題を大きく抱えていますが、大阪市を舞台にし、物語こそ実話ベースではないですが、大阪市で起こりうるような問題を多く扱っており、かなりの配慮が見られたところから。

  ※ 同じ考え方で、「ファイター・北からの挑戦者」も同じように推します(北朝鮮からの韓国の難民問題に関して、ほぼ正しく描かれている)。

 ・ 最後の決闘裁判/チャサンオボ: 実話もの(文系歴史)で、かつかなりの知識を要求する「学術系映画」のカテゴリで。前者は百年戦争(1339~1453)、後者は李氏朝鮮のカトリック弾圧事件(1801)が背景にあります。
どちらもパンフレットが丁寧で、しかも内容も極めて正しく描かれており好印象です。

 ・ アイの歌声を聴かせて: アニメ枠ではこちら(俳句をテーマにした映画もあったと思うし見たけどタイトル思い出せない…)。どちらもアニメ枠と思いきや、学術的(AIに関する内容、俳句(季語)に関する内容)にも正しく描かれており好印象です。
------------------------------------------------------

 さて、来年、2022年はどんな作品が待っているのだろう…。

yukispica