「個性豊かな動物たちに見えてくる」SING シング ネクストステージ shironさんの映画レビュー(感想・評価)
個性豊かな動物たちに見えてくる
邦題が素晴らしい。“次の舞台”
前作は、それぞれが抱える問題を乗り越えて、一度は諦めかけていた夢に向かう物語でしたが、
本作は、次のショーの物語であると同時に、一つの段階(ステージ)をクリアした先に待つ、更に難易度の高い段階 “ネクストステージ”へチャレンジする物語。
バスター率いるムーン劇場の仲間たちは、ラスベガスを思わせる超一流のショービズの街を目指します。
しかし、それぞれの前には新たな壁が立ちはだかり…
自分の問題を克服する為に勇気を出して殻を破った者だからこそ、ぶち当たる次の壁。
諦めるのか?立ち向かうのか?最終的に決めるのは自分自身だけれども、歌の力と仲間の力が後押ししてくれることもある。
信頼できる仲間の一言だったり、新しい出会いが起こす化学反応だったり。
「歌の力」と「仲間の力」はシリーズを通して描かれているテーマだと感じます。
一作目の、劇場の建設を早送りで見せてくれるシーンが大好きなのですが、このシーンをわざわざ入れているところに『SING』の真髄がある!
ものづくりに対する全ての人へのリスペクトを感じる名シーンであると同時に、
自分を取り巻く世の中には、いろんな人が携わっている。そのことに気づく大切さも描いていると思っています。
目に見えている部分だけではなく、目に見えていないところにも様々な人の支えがあって社会は回っている。
つまり、一人だけの力で成し遂げられることなんて無い。
そして、決して孤独でもない。
今回もそのブレないテーマは変わりません。
何度も見たくなる個性豊かな動物たち!
大道具さん、衣装さん、ヘアメイクさん…舞台を作りあげるプロフェッショナル集団のイメージぴったり。
それに、夜間掃除スタッフにアイスクリーム売り。
みんながそれぞれの個性(特性)を活かしたポジションで活躍している。
オーディションシーンは数秒で終わるのがもったいないクオリティ!
前作のオーディションメンバーが思わぬところでカメオ出演しているのも嬉しい。
(一つのオーディションに落ちても、別のチャンスを掴んでる!)
お気に入りの二人(二匹?)が出ていなくて残念でしたが、チョイ役まで手を抜かない、全てのキャラクターに対する愛情を感じます。
そして、なんと言ってもステージのシーンが圧巻!
楽しくなったり、元気が出たり、一歩踏み出す勇気をもらえたり。
その場で生まれる観客との一体感!
「歌の力」を見せつけられました。
更にステージングのこだわりが凄い!
歌の演出が舞台上の演出として成り立っているところに驚きました。
前作よりグレードアップした舞台は、セットも豪華で最新の技術を駆使したダイナミックなショーを見せてくれます。
あくまでも舞台の上で。
劇場を自由に飛び回る為には、装置や仕掛けが必要。
それが見えた瞬間、表には出てこない「仲間の力」を感じることが出来ました。
この映画を見ることで、そんな目線になっている自分に驚かされます。
そして、すっかり『SING』の目線になって映画館を出ると、信号待ちの人たちが動物っぽく見えてきます。
眠そうなクマさんに、イライラしているピューマ。お揃いのリュックのレッサーパンダたち。
みんな個性豊かに存在している。そんな風に思える映画です。
アッシュの歌声に感動!
長澤まさみに弱点は無いのか??シリアスもコメディもアクションまでこなすうえに、歌もすごい!オールマイティかよ。
ナナの立ち振る舞いがエレガントで素敵。
大地真央さんがハマってます。
今回キーとなる伝説のロック歌手のくだりでは、カメラのパーンだけで過去の出来事を見せるシーンに痺れました。
あくまでも個人の意見ですが、字幕版を見てから日本語吹き替え版を見た方が良かった気がしました。