「【繋がっているようで繋がっていない世界】」POP! ワンコさんの映画レビュー(感想・評価)
【繋がっているようで繋がっていない世界】
※ トークイベント付き
映画はちょっとシュールな感じだ。
途中、どうなることかと心配にもなったけれど、徐々に、こんなことがテーマなのかなと考え始めるような感じだった。
僕は、繋がっているようで繋がっていない僕たちの世界を表しているのかなと思った。
映画を企画する段階で、主人公・柏倉リン役の小野さんが二十歳を迎えるころだったことも、子供と大人の境目の存在という発想に”繋がった”というようなことをお話しされていた。(※)
(以下ネタバレ)
冒頭で、タバコを購入する場面で、きっちり年齢確認をする店員とお客の間のもめごとがあるのだけれど、そんなところにも意図が含められているのだ。
この映画には、違和感がいっぱいある。
意図したのであろう違和感だ。
女優志望だが女優になれていないリン。
でも、チャリティ・サポーターとしてテレビには出演している。
募金が集まらないチャリティ番組だ。
子供の笑顔の写真で、どう募金が上向くのか。
その理由など示されることなどない。
親戚の子供の年齢さえあいまいなリン。
ハートの形は、逆さにするとお尻に見えるとか。
何も破壊しない爆弾魔。
ほとんどお客のない駐車場。
アルバイトに来ない沼田さん。
持ち主不明の青い車。
リンは、プリンセス・オブ・パーキング、つまり人気のない駐車場の「POP」なのだが、これは、誰も観ていないテレビのチャリティサポーターのリンと実は同じだ。
子供と大人の間の溝もそうだが、実は僕たちと社会の間の溝も相当深い気がする。
それに、ネットで繋がるなんて言うが、繋がっているようで繋がっていないのが僕たちの世界なのではないのか。
そんなことを考えてはじめて丸く収まるシュールな作品だった。
でも、もうひと声って感じかな。