「素晴らしい映画体験」くじらびと あささんの映画レビュー(感想・評価)
素晴らしい映画体験
【命をいただき、命をつなぐ】
インドネシア・ラマレラ村で400年以上に渡り脈々と受け継がれてきた鯨漁。村人たちの希望でもあり村人たちの生活や生命までも背負ったラマファは命懸けの役目で常に死と隣り合わせである。実際に命を落としたベンジャミンの死を悲しむ父の姿に私も涙が溢れた。
この村の人々は当たり前のように男女の役割分担を受け入れ、淡々と日々の生活を営んでいる。ジェンダーがどうのこうのと訴える私たちの国は豊かな証拠なんだろう。彼らの姿から本来の人類の姿が見られた気がする(善悪は別として)。
ラマレラ村の人々が生きていく為には鯨が必要で、そもそも鯨でしか食い扶持がない。
船を作る、綱を編む、祈りを捧げる、村人が協力しながら、それぞれが伝統や掟にそって役割を全うし、後世にも受け継ごうとする姿にジーンとくる。
映像はさすがの石川梵、美しい映像、リアルな鯨漁にグイグイ引き込まれ、凄まじい臨場感に息を呑むほどだ。捕らえられた鯨を助けようと寄ってきた仲間の鯨、鯨の血で染まった海、鯨の目、、、しっかりと目に焼きついている。
“食物連鎖” 私たちは生かされているのだということを実感した。
本作は貴重な映画である。自分の子供達と一緒に観に行けば良かったと思った。見る機会があるなら是非観てほしい。
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