「「偶然」と「奇跡」で紡がれる青春アニメの傑作!」グッバイ、ドン・グリーズ! さうすぽー。さんの映画レビュー(感想・評価)
「偶然」と「奇跡」で紡がれる青春アニメの傑作!
賛否が分かれていますが、個人的には大傑作です!
もはや感動の嵐でした!
映画を観て、これでもか!というくらい涙が出てきたのは久しぶりですし、観た後に何時間も余韻に浸れたのはもっと久しぶりです!
TVアニメ「宇宙よりも遠い場所」(以下よりもい)を製作したチーム&いしづかあつこ監督が同じ製作チームでよりもいと同じく中高生の冒険ものをアニメ映画として製作した本作。
よりもいのチームが同じく「些細な事がきっかけで旅をする」冒険ものというジャンルで製作したというだけで期待値が高かったです。
今作も、よりもい以来の大傑作でした!
自分は思春期という、いわゆる10代の登場人物達が冒険をするスタンド・バイ・ミーのような映画が大好きです。
ただそれは、単にキャラクター達が旅をしているからという理由で面白いわけではありません。
大人になりきれていない未熟な子供たちが、旅を通じて自分達の抱えてるものに向き合って成長していく物語として非常に愛着が沸いてきます。
前作の「宇宙よりも遠い場所」でも、名作「スタンド・バイ・ミー」でも、旅のきっかけは些細なものです。
旅に出る理由だって曖昧でも良いんです。「どこかに旅をする」という行為そのものが、在り触れた日常から逸脱するものであり、何気ない日常を送ってるだけでは気がつけない何かが気付けるのだと思います。
今作でもそうでした。
主人公ロウマと幼馴染のトト、そしてアイスランドから来たドロップがそれぞれの思いや葛藤を胸に旅をしてる姿や成長していく姿が本当にいとおしいです。
ドロップに住んでいた国がアイスランドというのも素晴らしかった点です。
日本からアイスランドまでの距離は非常に遠いです。だからこそ、遠く離れていて普通は繋がらないはずのものが繋がることで、よりドラマチックに感じられました。
また、今作ではよくドロップが「宝物」というワードを発します。
旅をするだけではなく、今作は「自分にとっての宝物とは?」というのもテーマの一つなんだと思います。
ロウマもトトもそれに影響されて、「自分の宝物」とは何なのかをラストで答えを見付けているように思えました。
一つ惜しいと思った点は、ロウマとドロップが直接出会う場面が直接的に描かれていなかった事です。
ロウマやトトにとってドロップは自分達の人生観等を変えていく存在でもあるので、そこは細かく、かつドラマチックに描いてよかったと気がします。
今回はTVアニメではなく95分という比較的短めな映画として製作されてるので、ストーリー構成の緻密さや巧みさは「よりもい」の方が高いし、ぎこちないと思う場面もあります。
なのでよりもいのファンにとってはそこが賛否の分かれ目ですが、個人的にはそれがほとんど気にならない程の魅力...いや、その欠点すらも魅力と感じてしまうくらいこのアニメ映画が大好きです!
このレビューを書いてる今はまだ2022年は2月ですが、早くも今年ベスト級の傑作映画に出会えました!
観てない方、ぜひ観てください!
オススメです!!