「伏線の散りばめ方と回収方法が絶品」グッバイ、ドン・グリーズ! きんぴらさんの映画レビュー(感想・評価)
伏線の散りばめ方と回収方法が絶品
プレミア上映会で一足先に鑑賞。
「宇宙よりも遠い場所」で心臓をガッツリ掴まれており、そのチームが新作を発表するとのことで興味深々だった。
ネタバレ厳禁であるため内容に極力触れずに言うと、伏線の貼り方と回収がすごい。バランスが良いと言うべきか。
小さな伏線をこまめに落としておいて、それを回収しつつドデカい花火玉を混ぜ、爆発させる。といったイメージ。この作り方には驚いた。その爆発に巻き込まれたのか、周りでは泣いている方がチラホラ。
ただ、採点が低い理由として、鑑賞者置いてけぼりのシーンが2箇所あった。「笑い」「怒り」の表現にそれぞれ違和感が残る。そのうち「怒り」はかなり重要なシーンなので書かない。
「笑い」は、それほど笑えない内容で異常なほど長々と笑うシーン。私の感覚がおかしくて、彼らに取って大爆笑な出来事だったとしても、こんなに笑っているシーンを流す必要があるのか、と疑問が浮かんだ。ここは結構辛くて、鳥肌が立った。
良い意味で感情をガッツリ揺さぶってくれた「宇宙よりも遠い場所」を鮮明に覚えているだけに、上記の通り乗り切れなかった点で満足とは言えなかった。
とはいえ、前述の伏線や物語の構成、そして圧巻の背景描写には頭が下がって上げられない。特に背景描写に関してはこれだけで鑑賞する価値があるのではないかと思わされるほどだ。美術さんすごい。
あと、蛇足っぽくて嫌だが、重要だと思ったこと。
声優さんが著名な方なので子供達が観たがるかもしれない。ところが本作は監督も仰っている通り「哲学」や「人生」に触れているものだ。あらゆる経験が不足している子供達ではあまり話についてこれないかもしれない。
実際近くの席で、泣いているお母さんに息子さんが「なんで泣いてるの? 泣くとこあった?」と手厳しい一言を投げかけていた。
あまり深くは書かないが、「誰と観るか」が非常に難しい作品だ。お子さんと行くより旦那さんと行くことをオススメしたい。
一般公開は2月18日。私がもう一度観るとしたら、やはりソロだろうか……