「楽しめたがギャンブルは原作のすさまじさが無い 読んでから推奨」嘘喰い うつやさんの映画レビュー(感想・評価)
楽しめたがギャンブルは原作のすさまじさが無い 読んでから推奨
いい所もわるい所もあったが、楽しめた。
原作既読者が楽しめるかどうかは、その人によってかなり分かれるだろうと思う。
肝心のギャンブルに、原作のあのお互いの心を削り合うような感じがない。かなりアッサリしていて、貘さんの異形めいた強さが感じにくい。(屋形越えの敗北の真意についても触れられない)ただ、2時間の映画でハングマンまでを納めようと思ったら、そして映画で初めて触れるにもわかるようにしようと思ったら、それは難しいことなのだろうと思う。あのすさまじさを、できれば原作を読んで感じてもらいたい。
貘さんと梶ちゃんの相棒関係を描くのを主眼にしたと感じられる。
そのためか貘さんの、狂気じみた圧倒的強者の面はかなり抑えられて、優しさや暖かさに焦点を当てた上で、軽めの雰囲気の頭の切れるお兄ちゃんな感じになっている。
出会って相棒になったから勝てた、二人三脚感。個人的には、この点が一番地雷なのだけど(いや、梶ちゃんがいたから勝てたのはそうだけど、こう……違うんだよ……)、2時間で収まりよく後味よくするためにこうなるのも、まあ理解はできる……。
演者様方はとてもよかった!ビジュアルや空気感の再現など、実写でこんなにしてくださったらもう大満足!
上記に述べたように、貘さんの雰囲気は原作とはまた違うのだけど、それは脚本に由来するものであり、その上で端々に「斑目貘」を感じさせてくれた、横浜流星氏に感謝。とくに穏やかな時の声だとか。
貘さん梶ちゃんがどんどん仲良くなっていく感じが大変かわいかったし、マルコもかわいかった。この映画を見て楽しかった気持ちの大部分は、演者様方による演技のよさから生まれていた。
すごい……となったのは、能輪立会人と判事とQ太郎です。こんなに原作から飛び出してくれることあるか。
総括すると、ギャンブルものとしては原作を読んだ後だと物申したくなることが山ほどあるが、原作のあの登場人物達が実在している……!感が大変よかった。
嘘喰いのあの多面的な面白さを、限られた時間でまとめるのは難しいのだろう。ストーリーは相当薄味だけど、それを演じる方々の向こうに原作の登場人物を見出す楽しみがあった。
できれば、キャストはそのままで(いや、一部の人は難があるけど、それも監督のオファーだったらしい)、もっとしっかり尺の取れる、ドラマとかで観たいな……ちゃんとした監督と脚本で。
原作未読の方はどうか読んでみてほしい。本当にものっっすごく面白いので。
最初の頃は絵柄がゴッツリしているけれど(この頃も好きです)、だんだんすごくなっていくので、せめて38話ぐらいからのハングマン編だけでも読んでみて……横浜流星さんに演じてほしいシーンをぜひ探してみて……(各種マンガサイトやアプリで配信中)