「あの老人の狂気が…」ドント・ブリーズ2 キレンジャーさんの映画レビュー(感想・評価)
あの老人の狂気が…
沈黙がスクリーン内だけでなく、劇場内すべてを飲み込んでいく。観客の我々が、唾を飲み込む音さえ躊躇する様なホラー体験を味あわせてくれた5年前の前作がサイコーに好きな作品だったので、今回も期待ともちろん不安を抱きつつ劇場へ。
結論としては不安のほうが的中した感じ。
※後半、一部ネタバレします
目が見えないのに…という老人自身の感覚の鋭さや強さ、その怖さが影を潜め、結局ギミックで勝利していく普通のアクション。またそのギミックの効果も「ん?それはどーなん?」「普通、そうはならんよな?」と思わされるものが多くて飲み込めない。
誰がホントで誰がウソか、誰が善で誰が悪か、といった辺りが二転三転するストーリーの展開は面白いのに。
あとは直接的な残酷描写がかなり強化されているのは好みの分かれるトコなんだろうけど、個人的には少なくともこの映画にはあまり要らないな、という感じ。
そして一番引っかかったのは、少女があまりに報われない(というかほぼ自ら「そっち側」に向かっていく)コト。
ホラーやサスペンスに必ずしも「救済」を求めるべきでもないとも思うし、次回作の伏線なんだろうとは思う。殺人マシーン化していく姿を描いているのだと思う。
ただ、老人に「仕込まれた」というよりは自分からかなり積極的にバイオレンスに加担していったこと、更に言えばその最初の相手が自分の本当の…ってあたりで、本来一番の地獄を見ている彼女に共感できなくなってしまった。
前作に出てきた様なカットやセットもあってそういう楽しみ方はできるけど、あの老人に「狂気」がないので、あの『ドント・ブリーズ』の続編としてはどうしても不満が残ってしまった。
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