「凄まじいドキュメンタリー」コレクティブ 国家の嘘 odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
凄まじいドキュメンタリー
クリックして本文を読む
2015年10月30日、ルーマニアの首都ブカレストのライブハウス、コレクティブ・クラブで起きた火災で多くの死傷者を出した事故が始まり、火災はハードロックバンドが演出に使った電気花火の火が天井裏の防音材に引火、防音材は経費削減の為不燃のグラスウールでなく綿だったので一気に燃え広がった。定員80人のクラブになんと300人も入っており、非常口も無く一つしかない出入り口に人が殺到し多くの人が逃げ遅れた。こんな消防法、建築基準法にも満たないクラブが営業できていたのも市長をはじめとする腐敗政治のツケなのだが本題は被災者の収容された病院での大量死であった。不審に思ったスポーツ・タブロイドの記者が調査を始める。
病院関係者の内部告発などから死因は火傷では無く緑膿菌による院内感染、さらに調査を進めると病院に収められていた消毒薬が10倍に薄められた粗悪品だったことが判明、さらに渦中の薬品会社の社長が謎の突然死・・。
前半は記者カタリン・トロンタンの調査報道を追っています、なぜ主要なマスコミが機能せず弱小なスポーツ紙だったかは、これまた政府への忖度でマスコミが動けなかったということです。ことほど左様にルーマニアの社会腐敗は深刻を極めています。
映画の後半は民主運動で厚生大臣が辞職、あらたに野党から新大臣に任命されたヴラド・ヴォイクレスク氏が改革に着手、様々な妨害に遭いながらトロンタンと力を合わせて戦う様を追ってゆきます。
あまりに酷い腐敗ぶりですが国民の政治への無関心が招く長期政権の弊害などは対岸の火事とも言えぬ怖さを感じます、凄まじいドキュメンタリーでした。
コメントする