「硬派なドキュメンタリー、心理的にハードな結末」コレクティブ 国家の嘘 CBさんの映画レビュー(感想・評価)
硬派なドキュメンタリー、心理的にハードな結末
2015年10月30日、ルーマニア ブカレスト市のクラブ「コレクティブ」で火災。死者27名、負傷者180名の大惨事。それで終わらず、火傷で入院した負傷者が次々と47名も死亡した。その原因を調べるスポーツ紙の編集部と、その背後にあった巨大医療汚職事件を浄化しようと奮闘する新大臣を追うドキュメンタリー映画。
負傷者死亡の原因は明らかになるし、市民の怒りは頂点に達し内閣は辞職するし、スイスから戻って就任した新大臣は腐敗まみれのシステムを変えるべく、半年間日夜奮闘する。
それなのに、観終わった後も、心は少しも晴れない。絶望感が圧倒的だからだ。ルーマニアの闇は深く黒い。このドキュメンタリー映画で、何かが変わることを、心から願う。
事故で両手の指を失い、ほぼ全身にケロイド状の火傷痕が残った女性が、前だけを向いて生きるエピソードが、本編と組み合わせて進行する。その姿勢、どんな深い闇の中でも、個人として前を向いて生きようというメッセージが、この映画の全ての希望だと感じる。
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