劇場公開日 2023年9月15日

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「ほぼ「アリスとテレス」が何を指すのかを理解できるかの勝負…」アリスとテレスのまぼろし工場 yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0ほぼ「アリスとテレス」が何を指すのかを理解できるかの勝負…

2023年9月15日
PCから投稿

今年312本目(合計962本目/今月(2023年9月度)22本目)。
(参考)前期214本目(合計865本目/今月(2023年6月度まで))

 有休消化促進デーでしたのでこちら含めて3本視聴しました。

 以前から、ビジュアルの良さ(ヴァイオレット~や、翌年だと「グッバイ・ドングリーズ」などを彷彿とさせる)や、音楽のよさ(中島みゆきさん)にひかれての鑑賞になりますが、なかなか哲学的な内容で、それは「グッバイ~」にも似たところはあります(作成会社は違うらしい?)。

 架空の町(ただし、エンディングロールでは想定されている市町村が応援扱いで表示される)を舞台に、「閉じ込められた世界」からの脱出と、その世界にいる女の子との交流をメインに描く映画です。

 なかなかに哲学的な話題で、難易度的には花言葉に関する知識まで要求された「ヴァイオレット~」と同程度かそれ以上か…という気がします。1度みただけでは気が付きにくい部分も多く、2度3度見ることも想定されているのかな…という気がします(放映時間はそのため配慮されています)。

 映画の構成としてはほぼ「愛することとは何か」等を代表とする哲学的テーマに偏る傾向がありますが、その点は仕方なしかなという気がします(タイトル通り、この映画は一定程度、哲学的分野を要求します)。ただその分、いい意味で「大人向け」といえる作品でもあり(子供が見ちゃいけないということは意味しない)、良い作品にあたったな…というところです。

 また、中島みゆきさんの音楽・音声にも感動したところです。「何らかの意味で考えさせるタイプのアニメを見たい」「短めでもよい」(110分)というのであれば無条件に推せる一作かな…というところです。

 採点に関しては以下を気にしましたが、4.8以上ありますのでフルスコア上限切り上げにしています。

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 (減点0.1/事務管理者の責任の描写不足)

 ・ 事務管理の管理者には善管注意義務のほか、「本人の意思がわかる場合、または推知できる場合、それに従う必要」があるほか、「継続して行う義務」も生じます(民法700条)。したがって「月水金は俺が面倒を見るからな」というようなことにはなりません(「継続して」の部分に抵触する)。

 ※ 事務管理(ほか、不当利得・不法行為)は、「法定債権」と呼ばれるもので、「いきなり債務不履行を問われたりすることがある」という特殊な類型であるがために(特に事務管理は報酬請求権はない代わりにいきなり訴訟を起こされたりと面倒)、この点はしっかり描写してほしかったえす。

 (減点0.1/「アリスとテレス」が何を指すのかを理解しないと厳しい)

 ・ もちろん、映画内に「アリス」と「テレス」が出てくるといった簡単なお話ではありません(そんな状況なら減点対象にすらならない)。

  (ヒント)
  「アリスとテレス」が指す内容は、「1人のリアル歴史上存在した人物」です。
  この映画で述べられている思想背景には、この「歴史上存在した人物」の思想感が流れているものです。

  (ネタバレなしなので、かなりざっくりと書いています。パンフレットなどにはズバリ書いてあるのかな?)
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yukispica