「時間を無駄にしたくない人は読んでください。」ブラッド・レッド・スカイ みちすうさんの映画レビュー(感想・評価)
時間を無駄にしたくない人は読んでください。
久しぶりにこういうお金をかけた駄作に出会った。
この映画を見ることはとてつもなく時間の無駄なので今から見ようと血迷った考えを抱いている人はこれを読んで考え直してください。
・ストーリー
乗っていた飛行機がハイジャックされてしまった主人公(母親)とその息子。ハイジャック犯に銃で撃たれ致命傷を負った主人公であったが、その正体はなんと吸血鬼だったのだ・・・。
・斬新な設定
ダメなところは上げていくときりがないので先に良かったところを言っておきたい。
まず映像や特殊メイクのクオリティはそれなりに良かった。設定も悪くなかったと思う。ハイジャックがテーマのサスペンス系かと思いきやまさかのアクションダークファンタジーというか、終盤はほぼほぼゾンビ映画のようだったが、こういう思い切りのいい斬新さ自体は設定として嫌いじゃない。惜しむらくはこういうジャンルスイッチするような映画の見せ所の一つでもある伏線回収的な要素が特になかったところだが、まあ正直それは良しとしよう。そんな些細な不満はこれから先述べていく欠点要素に比べればなんてことはない。
・息子がバカすぎて話にならない
こういうパニックムービーには無理やり展開を生み出すために明らかに常軌を逸した行動をする「お前なんでそんな余計なことするん?」っていう登場人物が必ず一人は出てくるのがお約束だ。今作ではそれが主人公の息子である少年な訳だが、大抵の場合こういうバカキャラは序盤に退場してくれるものだ。しかし、今作の場合はこの無能な少年が最後の最後まで生き残り続けて、その持ち前の無能さで周りに迷惑をかけまくる。物語序盤でハイジャックされた機内、「手を前に出し、頭を下げて大人しくしていろ」という指示に従う乗客。そんな中、この少年はおもむろに機内の案内図を取り出し、「ここなら隠れられそうだ!」と席を立ち、主人公である母親に制止されるもそれを振り切って客席後方へと走り出してしまう。当然ハイジャック犯にばれて母親は打たれ息子も捕まる。もうこの時点で嫌な予感がプンプン漂っていたが、なぜここで映画を見るのをやめなかったのかと未だに後悔している。その後もことあるごとに危険な方へと走り出すこのクソガキ。正直よくもまああの母親がこれまで食わずに我慢してきたなと感心する。本来この作品は母と子の悲劇のストーリーであり、子供に同情してしまうはずの映画だが、子役の演技がシンプルに下手なのもあるが単純にうっとおしい役立たずのガキなので同情もクソもない。
・一番頼りになりそうだった男がバカすぎて話にならない
物語冒頭から登場している主人公らと同じ飛行機に乗り合わせた男性がいるのだが、てっきり頼りになるやつかと思いきやパッパラパーだった。ハイジャック犯から犯行声明文を代わりに読むよう脅されるシーンで、この男はアラビア語で書かれた犯行声明文を読んだ後に「俺たちは犯人じゃない助けてくれ」と勝手につき足した。当然犯人にはアラビア語がばれており「勝手に文章を創作するな」と怒られて乗客一人が見せしめに殺される。あのさ、そのアラビア語の犯行声明文作ったの誰だよって話なんですよ。犯人がアラビア語で文章書けるなら、そりゃアラビア語で喋ったらバレるでしょうが。もうほんとに勘弁してくれ・・・せっかく頼れるタフガイかと思ったのに・・・。
・ハイジャック犯がバカすぎて話にならない
終始喧嘩しているハイジャック犯たちに「もうよそでやれよ」と言いたくなる。まずこれだけ緻密な計画を練っておいてなぜ実行犯をあんなクレイジーサイコ野郎にまかせたのか理解に苦しむ。副機長は作戦実行の上でなくてはならない存在だが、あのサイコ野郎は別にいなくても問題ないのでは?と思った。あとわざわざナイフで木の棒を研いで主人公と戦いに行くあたりで「いや、ナイフで闘えよ」と突っ込みかけたが、「そうかなるほどあの木の棒のリーチの長さを利用して戦うのか!」と予想し展開を見守っていると、なんと吸血鬼化した主人公を近くまで誘い込んでからブラックライトで無力化するというそこそこギャンブルなことをしてきた。このシーンは本当に意味がわからない。そもそもなぜ主人公にブラックライト(紫外線)が有効になると知っていたのか非常に疑問だ。確かに「あいつはヴァンパイアだ」と呟いてはいたがいくら相手がヴァンパイアでも木の棒とナイフとブラックライトを持っていたら少なくともナイフ持って行くけどなとツッコミどころ満載であった。あれブラックライトが効かなかったらどうするつもりやったんまじで。
・制作スタッフも監督もバカすぎて話にならない
この作品はとにかく矛盾が多すぎる!目に余る!看過できない!
先ほど紹介したバカすぎて話にならない息子が、ハイジャック犯に襲われている母親を助けるべく拳銃をうっかり発砲してしまうのだが、その弾丸は客席の窓ガラスへと命中し窓ガラスが割れて気圧が急激に下がり機内はパニックとなるというシーンがある。ふーんたかだか拳銃で飛行機クラスに使用される窓ガラスがパリーンと割れるんですかねぇ?なんて意地悪なことを思っていると、その少し後に車の窓ガラスに向かって発砲した銃弾が防弾ガラスに弾かれるシーンが出てくる。いやあのさぁw車以下の耐久性能の窓ガラスつけて飛んでる飛行機とかやばすぎでしょwwww誰か突っ込まなかったん?それ以外にも先ほどの窓ガラスが割れた時は気圧差で割れた箇所へと物が吸い込まれるような描写があったが、ドアを爆破で吹き飛ばした時には子どもでも平気で立っていられる状況という矛盾、めちゃくちゃ気泡が入った注射器、燃やしても死なない吸血鬼を最後に爆破で殺そうとする、いつの間にか吸血鬼の存在を知っている死にかけの男、射殺許可の前に発砲しちゃってるスナイパーなど正直全体的に詰めが甘いし作り込みされていない印象を受けた。
ということで、ここまで読んでなおこの映画に興味が湧いてしまったならもう止めるすべはないので勝手にしてください。私はみなさんの貴重な時間を無駄にしないためにも見ないことを強く強くお勧めします。
本作を観ました! 不思議なことに、みちすうさんの酷評レビューのお陰で、めちゃくちゃ(コメディ級)に楽しく鑑賞できました。『あ、このシーンは、このことだったのか』『あははは、ウケ〜』という具合い,
みちすうさんのレビューの力って凄い。本当に面白かったです。レビューを読んでいなければ、こうはならなかったと思います。また、よろしくお願いします,
素晴らしく面白いレビューを読んで、はて、どのくらい酷いのか、レビューのシーンは本当か、断然興味が湧いて来ました。
どうせ通勤時間の有効利用Netflixスマホダウンロードです。時間の無駄使いより、みちすうさんのレビューの面白さを検証してみたくなったのです。これから、勇気を持って、本作を観てみます。
ありがとうございます。手遅れでした。血迷って見てしまった後にこちらのレビューに出会いました。素晴らしいレビューであり、見た私の気持ちを全て代弁してくれています。