「ラストそうなるか」トランスフォーマー ビースト覚醒 Minaさんの映画レビュー(感想・評価)
ラストそうなるか
2007年の第1作からはや10年以上の人気シリーズだが、丁度節目に当たる第5作、「トランスフォーマー/最後の騎士王」が興行面の不振に終わり、パラマウント側からはシリーズの無期限延期が発表されたのは非常に悲しかったものだ。
そしてキャストを一新して蘇った新シリーズは、文字どうりの新シリーズであり、今まで続いてきた物語は無かった事にしている。あそこまで地球規模にしておいてもう知らねぇはどうかと思うが、再起を図る上では仕方ないのだろう。本作には動物に変形する「ビースト」と呼ばれるトランスフォーマー達が登場するのだが、オートボットやディセプティコンだけでない新たなアイコンとして良いポジションにいるのだが、ただ残念、アニメ版の原作である「ビーストウォーズ」は未鑑賞。故にその辺の感動や興奮は味わう事が出来なかった。
今までシリーズを鑑賞してきて思ったのだが、シリーズ後半は世代を問わないSFの割には話が小難しくなっており、長尺な本編と相まっておおよそ子どもは置いてきぼりな印象だったが、本作は娯楽作としての起承転結、アクション、ドラマ等が完璧なくらいの構成になっていた。マイケル・ベイ監督のひたすら格好いいシーンを格好良く撮るという事はなく、言葉は悪いが無駄を省いた分かり易いストーリーとなっている。その結果、本編が127分という過去作では考えられない尺に収まっているではないか。恐らく製作サイドが変わらなかったら本編は150分といった所ではないか。
だが、そんな部分も含めてのこのシリーズだったのではないかと思う部分もあり、唯一マイケル・ベイの好きそうなシーンがお腹いっぱい撮れるのが「トランスフォーマー」だったのにと心の何処かでさみしく思う自分もいる。第1作の割には規模がかなり大きい気もするが、大都会でドンパチをやらず、人間はほぼ蚊帳の外でトランスフォーマー同士の本気の喧嘩に留まっている為ある程度バランスは取れているだろう。ラストの展開を考慮すると近頃流行中のマルチバース的世界観に挑むと推測されるが、1度失敗をした故にかなり練った物語になっていくのではないだろうか。いずれにせよ同じ様なミスで同じ様な結果にならない事を祈りたい。