「分断されたアメリカの現状を竹光に見せかけた真剣で切り捨て御免」スイング・ステート bionさんの映画レビュー(感想・評価)
分断されたアメリカの現状を竹光に見せかけた真剣で切り捨て御免
うーん、そんなところに着地するのか。たまらないね。コメディーの文法には忠実、エンターテイメントとしてもピカイチ、そして監督が伝えたいことは、バッチリ伝わってくる。
選挙と聞くと血が騒ぐ僕にとっては、楽しみにしていた作品。
白人である退役軍人のジャックが町の議会で、移民切り捨て条例に反対する熱い演説をぶつ。ジャックの演説はSNSで広がり、ジャックはリベラルの騎士として英雄視されるようになる。しかもその町は、大統領選で激戦州となるウィスコンシン州の田舎町。
この事実を見逃さなかったのが、民主党の選挙仕切人のゲイリー。バリバリの保守層である白人の退役軍人が、民主党にピッタリの主張しているんだから、こりゃ、民主党のマスコットに祭りあげるしかないと、ジャックを町長選挙に出馬させるために町の乗り込む。
こうして、町長選挙が始まるんだけど、ゲイリーのライバルの共和党のやり手の女や選挙のさまざまプロが田舎町に集結してストーリーは佳境に入っていく。
下ネタが全開で、しかも冴えてる。笑いに笑った。ハリウッドって自由でいいね。下ネタの面白さに惑わされてはいけませんよ。分断されたアメリカの現状を竹光に見せかけた真剣で切り捨ててくれます。切れ味すごっ。
週末に映画を見る余裕があって、リベラルを自認する僕のようなスノッブが切り捨てられるんだけどね。
面白い上に、自省も促されてしまう快作でございました。