劇場公開日 2022年3月18日

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「「猫」という人の心」猫は逃げた R41さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 「猫」という人の心

2025年9月20日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

猫は逃げた

若干エロチックなヒューマンドラマ
広重と亜子の離婚届唐物語が始まる。
その離婚届の上で小便をした猫カンタ
離婚の話し合いは、このカンタの親権
お互いの不倫
そもそもの原因
でも、結婚したことにも原因はあった。
無職と亜子の妊娠
彼女が求めていたのはタバコを吸わないことだけだったが、この3つとも広重には受け入れられないことだった。
二人でいったカラオケにも全く気乗りしない広重は、タバコを吸うために外に出た。
しかしこのとき彼は、このまま逃げてしまおうと思っていた。
広重の心境は、亜子にもよくわかっていた。
「もう、戻ってこないんだろうなあ」
そう思いながら一人歌う歌の歌詞と、彼女の心境の乖離
そして広重が見つけた捨て猫
生理がないと言った亜子だったが、もう戻ってこない彼を諦めた瞬間、生理が来た。
同時に、彼と猫がやってきた。
亜子にとって、漫画の連載は夢を叶えた印
同時に広重と結婚できるなら、こんなに嬉しいことはない。
この亜子の「生理」と「猫」は、生まれてくるはずだった子どもと非常に近しい感覚となったのだろう。
禁煙を決断した広重にも、薄い希望の光が見えたのだろう。
子どもと似た関係性を生じさせる「ペット」
浮気が原因で仕返しの浮気と連鎖
広重と亜子の離婚問題は、猫の親権で、そのことで右往左往する浮気相手たち
まるでコメディだ。
さて、
「猫は逃げた」というタイトル。
猫とはモチーフだと解することができるが、何のモチーフなのだろう?
物語にそのヒントとなる「映画」が登場する。
この映画は、ある夫婦の破局を描いていた。
その理由が、男女の愛が「アガペーからエロスに変わった」から。
つまり、恋人でも夫婦でも「段階」があるのだろう。
その段階を踏んで結婚までたどり着いても、その先にはまた新たな段階があり、それに躓けば離婚と言う選択肢になる。
編集者松山も、同僚のマミコも、相手の心の穴を埋めるピースでしかなかった。
だから遊びではないが、本気にはなれない情事だった。
逃げたというのは、相手に向き合わずに他者に逃げたということだろうか?
猫は言葉を喋らない。
しかし、猫のふりをして表面上相手に寄り添うふりをして、逃げる事はできる。
亜子にとって、夫の不倫に薄々気づいていたが、言葉ではっきり告白されると、自分が傷ついたことがはっきりと分かったのだろう。
「なんでわざわざ言った?」
「隠すの辛いし…」
「自分が辛いからだよね」
「自分だけ」のためにという言い訳は、亜子の心を深く傷つけた。
あの日、
亜子の妊娠を告げられ、亜子が夢を叶えたこと、そして無職の自分(広重)
猫は突然生まれた子どものようで、それを見れば希望が見えた。
しかし、浮気と自分勝手な言い訳は、夫婦の溝を作った。
自由に動き回れる猫は、去る事もできる。
結婚すれば、離婚することもできる。
しかし猫が戻ったことで、夫婦は以前のような仲を取り戻した。
気持ちは、離すこともできれば、寄り添うこともできる。
自由なようで思い通りにならない感情
それは猫のように人を翻弄する。
この物語の猫とは、人の心
思いやりがあれば猫はそばにいるし、思いやりをなくせば猫は去る。
この一見当たり前でいて、ともすれば後ろを向いてしまう「人の心」
このことを考える余白のある作品
その他を全部描写したうえで、このことを視聴者に考えさせている。
なかなかいい作品だった。

R41
きりんさんのコメント
2025年9月20日

R41さん
サイトから”半出禁“の処分をされました。
最新のレビュー3本あたりから「コメント不可」です。
いろいろと自由に書いていたのがいけなかったようです。今までもけっこうな本数、削除されてきましたしね(福田村とかFukushima50とか)。
意に反し、残念ながら皆さんからのコメントをもらえなくなってしまいましたので近況としてお知らせさせて頂きました。

きりん

きりん
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