12ヶ月のカイのレビュー・感想・評価
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面白いけど…
日本のSF作品としてそこそこ面白さがあり、スリリングさもある作品
近未来の日本 ソムニウム社が開発したヒューマノイドという商品
昨今の若者たちが出会い系アプリで知り合うことから、その先にある選択肢とはもしかしたら人間ではないのかもしれないという、基本的には手塚治虫時代から描かれた物語をアレンジしている。
さて、
テンポのいい展開で飽きることなく見ることができた。
しかしながら、
SFというジャンルであるならば押さえておかなければならない部分がいくつかスルーされていたのが惜しい点。
まず、そもそも人々の間ではこのヒューマノイドなるものが何であるのか論じられておらず、それ故妊娠という概念に「?」が付きまとってしまう。
この時代でタイムリーだったのは、ナノボットの登場と人工生命体開発の成功だ。
ナノボットとは細菌やウィルスと同じサイズで、人工生命体とは自分の分身を作り出せるものだ。
これは当時発表されており、もしかしたら実際にはこの数倍速く技術が進んでいる可能性がある。
これを最初に挿入することで、ヒューマノイドが何であるのかという考察を視聴者に想像させることができる。
これを前提とした場合、
例えば死体に処理をして人工生命体として肉体だけは蘇らせ、AIを搭載、プログラミングによって人間のようにふるまえる。
その不完全なものを新たに進化させる目的で誰かと交配させる目的があるという設定だったら面白いと思う。
まさにラザロ計画
リベリ計画のリベリとはラテン語の自由 彼らの目的だ。
これをしなかったのはもったいなかった。
また、その目的を「ヒューマノイドの本能と共存」と言っているが、プログラミングの概念を使っていることと、カイと登場人物たちとの会話、そしていったい誰がそれを目的としたのかという点、これらがヒューマノイドの意識について非常に矛盾を感じてしまう。
さらに、生まれた赤ちゃんがどう見ても宇宙人にしか見えず、ヒューマノイドそのものが何であるのかについて考察を許さない部分が残念だった。
例えばサルと豚のあいのこのようであれば想像がつくが、宇宙人では… どうしたらいいの?
キョウカは同級生たちに妊娠を告白するが、そもそも上記のような前提がなければ成り立たないことで、通常は誰かによって仕込まれた妊娠の可能性を疑うのが一般的だ。
そして、
母の嘘
あれはいったい何だったのだろうか?
敢えて想像できるのは、キョウカには正しい情報がいつも受取れないということだろうか?
出会い系であれ、友人の紹介であれ、ソムニウム社の実態、そしてカイ
誰もが正しいことを言わないということなのだろうか?
ここは非常にわかりにくかった
最後はSFらしく、ループ状態になる。
さて、、
SFっぽく描いた近未来ホラー
矛盾点は感じるものの、スルーすればなかなかスリリングに楽しめる。
この矛盾点を改善できれば日本のSFはもっと面白くなるだろう。
カイ? 怪?
ヒューマノイドをセックスパートナーにする女性の話、製作費577万円、クラウドファンディングで118万円集めて作った亀山睦木監督・脚本の自主製作映画。
まあ、ホストに貢ぐ女性もいるし、人間以外の生き物との恋愛話は民話から最新の映画まで、相手も狐から蛇、人魚、妖怪、エイリアンまで実に多いから相手がヒューマノイドというのも分からないではないが本作は初対面からいきなりベッドシーンと恋愛感情とは別物にしか思えない。カイの登場もお届け物ですと、まるでAmazonもどき、見かけや年頃などはネットで事前に選んだのかも分からない。
カイはヒューマノイドと言ってるだけで特殊メイクもなく若者が演じているだけだし、主人公は寂しがり屋の普通のOL、暮らしぶりも近未来感は描かれていない、まあ、自主製作で作家性が強い映画だから致し方ないが少しは観客側に立った客観性があっても良かったでしょう、演者からセットまでチープ感が拭えない怪作でした。
SKIP
『人間であるという秩序のための物語』という冒頭のインタータイトルから始るSFテーマであるが、その表現はCGやその他SF的要素の技法を取り払った(乳児の人形は演出)作劇になっており、現在社会のメタファーを表現したテーマ設定を落とし込んでいる作品だと感じる
女性の非婚、又は外国人排除、生殖機能の低下、出生率、そのような社会問題を、SFというジャンルに手伝わせて、しかしSF的視覚映像には仕上げずに、あくまで現代の世界観を基本に構成されている
しかし、この作品には経済的貧困という問題は含まれていない そう、いわゆる経済的に自立した女性達の物語なのである 自作HP制作の成功体験から、Webデザイナーという花形職業に従事している主人公が、愛玩動物を飼う様に人造人間をレンタルし、そして何の因果か、その人形の子供を身籠るという状況に陥る それでも、愛情を感じた主人公が産む決意をした直後、メーカーの思惑を知り、その目的に利用されたと知り、出産した異形の子供を殺そうとするが、人造人間に阻まれる 直後にメーカーの介入で、その気持をリセットさせられた女は又しても同じ轍を踏まんとするラストを描くといった内容である
皮肉が効いていて、充分愉しませて頂いたストーリーである 人間はやはりどこかで自分の選択肢を正解だと信じたいプライドを捨て去れない そこを漬込んだ外部の思惑であってもそれを良いように解釈して利用されてしまうのだ ご都合主義、又はリアリティを度外視した物語であっても、その帰結は現代社会に於いて寧ろ有り触れているのではないだろうか 子供をさらわれても、もう一度同じ過ちを繰り返すだろう主人公のポッカリ空いた虚無感と、切実な願望、そして願望を叶えたい強い努力 詐欺の手口に良くある一連の流れは、しかし現代社会に於いてそれを明白に描いている本作である
自分と対極にある友達が救助に来ても、でも寄り沿う人形に期待する、そのストーリーテリングにやるせなさ、堕落、そして愛おしささえも感じた構成である
おいくらでしょうね…。
進化系ラブドールとも呼ばれるパーソナルケアヒューマノイドを買った彼氏いない歴2年の28歳女性の話。
人間の出来ることの60%ぐらいは出来るという人と見分けがつかないPCRという設定で、最初は看病も出来ないということだったけれど、学習すればかなりの職種で働くことも可能な様な。
忠実なワンコ君ではあるけれど、人間ぽさの演出か自我(らしきもの?)を発言したり、更にはなんとキョウカが妊娠して、ってもしかして本当は生身の…?なんて、想像力が働いて違う方向の面白さがw
まあそのパターンはなかったけれど、そこからのスピードは最早恐ろしさを感じて、主人公の感情の機微を愉しむ作品なのだろうけれど個人的にはSFホラーとしての方が面白かった。
スマホ画面は何が書いてあるかしっかり見えずちょっとモヤモヤした。
まがい物で孤独を埋めた代償
人工知能と人間の、異種間パートナーシップから始まるSFヒューマンドラマ…と思いきや、後半のある出来事から物語はサスペンスに転化する。
キョウカがパーソナルケアヒューマノイド(PCH)に依存してく背景や、PCHとのパートナーシップについて一人で悩むことになる背景が上手く設定されていた。
PCHの本来の用途は家庭内で家事・育児をサポートすることであるため、キョウカには一般的なユーザーとPCHの関り方が分からず、さらに世間ではキョウカのように単身者が異性型のPCHを所有することはラブドールを所有することと同一視されているせいで、キョウカは後ろ暗さや理解されない寂しさでますます孤立する。また、オーナーを全肯定するよう作られているカイには問題解決能力はなく、相談相手にはならない。
結果キョウカは、一人で目先の悩みや孤独に気をとられることで、周囲との問題意識のズレの本質を理解できないまま時間を重ねていくことになる。このすれ違いによって相互不理解や孤独が生まれる様子や、大きな衝突が起きるまでは問題が日常に誤魔化されていく様子が、リアリティをもって生々しく描かれていた。
孤独を利用する商売は現実にも沢山ある。キョウカが今後回復する道はあるのか、気がかりなラストだった。
ネタバレしてます。
人間がヒューマノイドの子を宿す話。
冒頭から進化したラブドール男版を購入した主人公が女性主導でヤリ始める。誰を何を好きになってもいいじゃない心があればと言いたいようだが、冒頭のシーンが頭によぎり、ただ盛りついた女があれこれ言い訳して正当化しているように感じ嫌悪感しかない。
会社ぐるみの設定らしいが無理、こんなん国家の少子化対策の陰謀じゃなきゃ無理。しかも、ネットで検索かけるとヒットする。そんな会社から買っちゃダメじゃん!って言うより、そんなことする会社は違法…いや、犯罪地下組織。どうゆう設定だ?無理過ぎて破綻している。
誰かが訪ねてくると女性の一人暮らしなのにも関わらず、何も確認せず躊躇なくドアを開けるのも、こいつの頭はお花畑か?
ラストは、”結局、ヤレる男がいれば何でもいいんじゃないか”としか見えませんでした。
現代女性の抱える葛藤なんかを描きたかったのだろうか?しかし、人物像もストーリーも全くもって酷く、何ひとつ共感できない。点数は当然0点と言うよりマイナスにしたい。
人間がヒューマノイドの子を宿すという着眼点は面白いが、もっとたくさん本を読んで、映画を見て、視野を広げて下さい。
これにより”マイライフ、ママライフ”も見ようかと思ったが止めた。
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