「神秘的、幻想的漫画家物語」リング・ワンダリング kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
神秘的、幻想的漫画家物語
かつて生息したニホンオオカミを題材しながらも、東京大空襲で亡くなった人たちへの鎮魂歌となっている作品。季節外れの花火の意味するものは何だろうと考えながら物語は進み、草介の描くオオカミの姿、劇中劇ともなる戦前のマタギ(?)の姿、そして工事現場から誘われるようにして一夜を過ごした川内写真館。
幽霊じゃないかと思った~などとタイムパラドクスの逆転現象的発言がまたいい。想像はたやすいのに、メッセージ性があることに終盤まで気づかなかった。神秘的な大木、古来より秘めたる力が漫画家のペンに乗り移る。後世に語り継がねばならない本質まで描かれていたのだ。
そうしてラストのシュールなオオカミの姿。まるでジブリの世界観。絶滅した動物たちへの哀悼の意味もあったのだろうか、同じように人間の命の大切さも控えめであるが訴えてくる。なかなかの作品。
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