「隠れた名作。しかし、ポスターのキャッチコピーには強い疑問。」すべてが変わった日 オワキムハンセンさんの映画レビュー(感想・評価)
隠れた名作。しかし、ポスターのキャッチコピーには強い疑問。
すごく引き込まれた一作です。
正直、映画館を出て思い返すと普通のストーリーなんです。
でも演出、組み立てによって感情移入しやすくしており、
見てる間、次どうなるんだろという緊張感があり、苦しく、辛かったです。
序盤、マーガレットがジミーを取り返しにジョージと向かう時、
ドニーから暴力を振るわれる様子を目撃した以上ジミーを連れ出すのは正しいとは思いつつも、
勝手に連れ出すのはまずいんじゃないかと思っていましたが、
ウィーボーイ一家の異常さを見た後はジョージ同様、マーガレットを応援するようになっていました。
マーガレットはブランチと今までの自分を重ね合わせることで
今までローナの意思をまるで尊重していない様子だった過去の自分の態度を反省し、ジミーだけではなく、ローナも救いたいと決心します。
そしてローナ、ジミーと待ち合わせるはずのモーテルでの修羅場。
ここではジミーとローナが脱出する意思があっても脱出できないこと、
そしてウィーボーイ一家は人の指を切るようなことをしても法では裁かれないことがわかります。
だからこそ、ラストの解決方にそれしかないんだという説得力を持たせています。
モーテルでの修羅場があった後、妻とトラウマを共有したジョージは今まで妻に従ってたのと対照的に今度は自分からローナ、ジミーを救いに行きます。
この救いに行くシーンも銃弾が明らかに足りてなかったりと悲惨な結末を想像させるものになっており、絶望感の中で自分は見ていました。。
ラストは凄まじいカタルシスに満ちていました。
ジョージの今までとは対照的な積極的な行動、そして愛する者を守るための犠牲があったこと、
そしてマーガレットが亡くなった息子と重ね合わせていた、ピーターとの別れによって
息子を亡くしたトラウマを乗り越え、ローナ、ジミーとの幸せな未来を予感させるものだったからです。
ジョージの死から自分は涙が止まりませんでした。
ところで、ポスターにあった正義の暴走が狂気を呼ぶというキャッチコピーは酷すぎませんか?
映画を見て書いたとしたら悪質すぎるので、
見ないで書きましたという方がまだ良心的なレベルだと思いました。