劇場公開日 2021年7月11日

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「人間臭い隊員たちの素顔と火災現場での勇気」ファイアー・ブレイク 炎の大救出 耶馬英彦さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0人間臭い隊員たちの素顔と火災現場での勇気

2021年7月15日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 森林消防隊の映画では、2018年日本公開の「オンリー・ザ・ブレイブ」が記憶に残っている。実話をもとにしていたためか、アメリカ映画らしくなく、地味でリアリティのあるいい作品だった。発生する山火事は広大なアメリカの森林が舞台だけにとても巨大で、立ち向かう消防隊の勇気と技術に感動した。
 本作品の山火事はさらに巨大であり、巨大すぎて人間の無力を感じてしまった。消防隊員は訓練を受けてはいるが、スーパーマンではないので超人的な活躍ができる訳ではない。その時その状況での現実的な最善の対策を瞬時に考えて実行する。
 真摯な消防隊員に対して、隊長の娘とその彼氏の新人消防隊員が登場したときは尻軽女とチャラ男の組み合わせに見えてしまった。ところがこの二人がその後の展開で・・・いや、ネタバレになるのでこれは書かない。
 短時間で村人の心をひとつにした隊長の人心掌握術の凄さと、隊員たちそれぞれの個性的な能力が見どころだが、隊長の娘が上司に対して「あの村人たちもこの国の国民よ」と啖呵を切るシーンが最も印象に残った。
 予算たっぷりのハリウッドB級作品に比べるとCGその他において劣る面はあるが、リアリティという点では見劣りしない。人間臭い隊員たちの素顔と火災の現場での勇気のギャップが本作品の醍醐味だ。
 ところで、隊員のひとりが格闘家のエメリヤーエンコ・ヒョードルに似ていると思ったのは当方だけだろうか。

耶馬英彦