ラン・ハイド・ファイトのレビュー・感想・評価
全26件中、21~26件目を表示
ポルファボール!、だろ
判官贔屓という言葉がある。はっきりした理由もなく弱い立場の側を応援してしまう心理のことだ。映画やドラマのいじめの場面で、いじめる側よりもいじめられる側に感情移入してしまう心理だと言えばわかりやすいかもしれない。冤罪で警察から追われる主人公を設定すれば、観客はほぼ主人公に感情移入する。
本作品の主人公ゾーイ・ハルはありきたりの女子高生である。父親と狩りに行くことから狙撃銃の扱いには慣れているが、それだけだ。決して海兵隊みたいに強くはない。それがテロリストたちと戦うのだから、鑑賞前から感情移入していた。
ところがである。映画紹介サイトでは学校を襲うのはテロリストとされていたのに、実際に襲ってきたのはその学校の学生とその仲間たちである。しかもいじめられていた学生たちだ。これはいけない。判官贔屓が引き裂かれて、襲った側の学生にも感情移入してしまった。おまけにゾーイが説教などするものだから、思わず「うっせぇわ!」という気分にもなった。ゾーイはいじめる側の人間なのだ。
もちろん、いじめられていたからといって無関係な学生たちまで巻き添えにするのは言語道断ではある。しかしいじめられた者は、その体験を一生忘れることができない。復讐は百害あって一利なしであることは頭では解っているが、怒りの炎は一生を通じて静かに燃え盛る。そして極く稀にその怒りを爆発させてしまう者がいる。もはや定期的と言っていいくらいに起きるアメリカでの学生による銃乱射事件の多くはそういった者たちであると、当方は推測している。アメリカは銃規制と同時にいじめの撲滅を進めていく必要があるのだ。
父親ゆずりなのか、説教臭いところのあるゾーイだが、持ち前の負けん気を発揮して武装学生に立ち向かう。といっても普段から運動もしていないひ弱な女子高生である。できることは限られている。主人公が死んだら物語にならないから、運はたいてい主人公に味方する。しかし命の危険は何度か訪れ、その度にゾーイはなんとか切り抜ける。そのあたりが本作品の見どころだ。死んだ母親のやけにリアルな亡霊は不要だったと思う。
それなりに面白く鑑賞できる作品であることは間違いなく、冒頭のシーンの布石がラストシーンで回収されてスッキリとした終わりになった。という感想にしたかったのだが、丸腰のゾーイへの感情移入よりもいじめられていた学生への感情移入がまさったために、妙に後味の悪さが残ってしまった。
ちなみにスペイン語の美人教師に向かって「ポルファボール!」と言ったのは、おそらく日頃からお高く止まった教師の態度に対抗して「お願いします、だろ」という意地悪な台詞で、一度は言ってみたかったに違いない。その気持ちは、少しわかる。
ありそうでなかった『ダイ・ハード』ミーツ『高校大パニック』、あらすじ自体はほぼ『竜とそばかすの姫』ですがこっちの方が6億倍スカッとします。
主人公は17歳の高校生ゾーイ。母を亡くしたことで父トッドとの関係がギクシャクしているが、退役軍人の父から銃の扱いを叩き込まれていて高校にもサバイバルジャケットを羽織って登校する風変わりな女の子。いつものように親友ルイスの車で登校したその日は最上級生だけにいたずらが許された“いたずらの日”。皆が浮き足立っているそんな日はゾーイにとって居心地が悪くてしょうがない。そんなタイミングでルイスにプロムに誘われたゾーイは動揺してトイレに入るが、その時カフェテリアにバンが突入。校長から退学勧告を受けたトリスタンをリーダーにした武装した4人組に制圧される。難を逃れたゾーイは他の教室へ向かい異変を伝えようとするが、タチの悪い冗談だと誤解されて相手にされず・・・。
頻繁に発生する高校での銃乱射事件はドキュメンタリやドラマでは散々取り上げられていますが、純粋なB級アクションの題材としては意外と新鮮かも。たまたまトイレに入っていたために難を逃れてテロリストと戦うというのはもろ『ダイ・ハード』、そこに“数学できんがなんで悪いとや!“の名セリフが脳裏に焼きついた昭和のカルト作『高校大パニック』が融合された感じですが、さらに異色なのは実はオカルト風味が強めなところ。孤独な戦いを強いられるゾーイをサポートするのがなんと亡くなった母ジェニファーで、たびたびゾーイに話しかけてくるんです。母を亡くしたトラウマがテーマという点では『竜とそばかすの姫』と同じですがここまでストレートに描写されると『シックス・センス』かよ?と言いたくもなりますが、本作のスゴイところはそんなやりすぎ感をトーマス・ジェーンがさりげないサポートであるべきところに着地させるところ。最高かよ!と全国5000万人のトーマス・ジェーン好きが拳を振り上げました。
あからさまに低予算でド派手な銃撃戦もないですが、それでも何の罪もない先生や生徒が瞬殺される凄惨さは情け容赦なし、それゆえにボロボロになりながらもテロリスト一人一人と対峙するゾーイの勇敢さに胸を打たれます。ラストシーンはアノ映画のラストによく似ていて爽快感がハンパないのですがタイトルは念のため自粛しておきます。
ゾーイを演じるイザベル・メイの凛とした佇まいはフローレンス・ピューのそれを彷彿とさせるもので、また将来有望な女優が出てきたなと感慨無量。もう一点本作には見所があって、それは銃乱射の現場を何とか収めようと外部で奮闘するターシー保安官をトリート・ウィリアムスが演じていること。『プリンス・オブ・シティ』、『ゾンビ・コップ』、『警察署長』等数多くの作品で警官を演じてきた名優がビシッと脇を固めているのでどっしりとした安心感もあります。スクリーンで本作を観ることが出来た人は一握りの映画ファンだけ、このままB級アクション映画史の中に埋もれていく運命の作品だと思いますが、WOWOWがそのうち拾ってくれるでしょうから運がいい人はそこで観れると思います。
緊迫感のあるテロリスト物だが、もう少し!
超マイナー公開なのに、満席。まあ、上映回数が少ないせいもあるかもだが、オッサンばっかりで、どうやってこの映画の情報を知り得たのかと思うほどで、同胞が多い?ことにはある意味、感慨深いわな。
走って、隠れて、戦う。テロリストに占拠されたハイスクール内で孤軍奮闘スルー女子高生のお話。
うーん、悪くは無いがもう少し、オープニング等での父親からのハンティングの教えを掘り下げ後半に繋げて欲しかった。
また、犯人側の動機が薄く感じたのと、バタバタと人質が殺されていくのはどうかとも思ったりもする。
主人公がトイレに入った時、犯人は天井で何してたの?
あそこになにか隠してありそれが意味をなすかと思ったら何もなかった。
そして中盤、父親からの狙撃。からの父親の更なる援護を期待したが、逮捕されてしまうし。??
母親の登場はくどかった。
そして、ラスト、オープニングのフリで締めくくるのだが、ああやって殺したら、罪に問われてしまうのでは?と思ったりもした。
★★★
トンファー…(´・ω・`)
卒業式が近づきプロムや卒業アルバムの製作が進む中で発生した学校内のテロ事件から、皆を救い出すべく奮闘する女子高生の話。
母親を亡くし他人に壁をつくる主人公が、唯一心を許す男子生徒と口論になり、トイレに逃げ込んでいる最中、カフェテリアに車が突入し、複数の生徒が殺され巻き起こるストーリー。
ツイているのかいないのか、事件に気付き、一旦は屋外に逃げ出したものの、教室等に残った生徒達に知らせているうちに再度巻き込まれ、イヤイヤながら機転をきかせて動き出すという素人版ジョン・マクレーン状態。
勿論と言ったら失礼だけど主人公が素人女子高生なのでド派手なアクションがある訳もな無くそれなりで、ラッキーとしか言えないご都合主義満載で展開していくけれど、それがヌルかったりしても一生懸命なので許容出来るし、vs男子高生の話術や挑発ならお手のもの。
幻視幻聴とかはあまり好みじゃないけれど、事件前からそれはあったし、自問自答の心の声や葛藤という位置づけと理解出来るので問題無し!ちょっと多過ぎたけど。
スカッと爽快とはいかないところも多いけれど、これはこれでとても面白かった。
『ミスト』のお父さん登場
このお父さん、どこかで見たことがあるかと思ったら、『ミスト』で絶望のどん底に突き落とされたお父さんじゃないですか。今回は、どんな役どころなんだろう。
父親からサバイバル術を叩き込まれている女子高生のゾーイが、スクールシューティングを起こしたグループと戦う話と聞いていたから、
『サプライズ』みたいに主人公の女の子が、父親から伝授された技を次々と繰り出す展開を期待してしまった。
予想とは違って、結構なシリアスモードで、ゾーイは傷を負いながら必死で先生や生徒を守りながら戦っていく。学校に闖入したグループは、頭は切れるけれども鬱屈した全能感を持ったリーダーとリーダーに洗脳された兄妹といじめられっ子の4人。犯人グループは用意周到に準備をしていたため、特殊部隊も簡単に突入できない。
冒頭とラストが韻を踏んでいて、構成はなかなかいいし、ゾーイにかなり感情移入できる。ファンタジー要素がなければ、もっとカタルシスがあったんだけどね。
ママ登場がくどかったかなー。
全26件中、21~26件目を表示