「その男は英雄か、ペテン師か。」英雄の証明 といぼ:レビューが長い人さんの映画レビュー(感想・評価)
その男は英雄か、ペテン師か。
映画好きの方々の中で評価が高かった作品。内容については全く事前知識がない状態で鑑賞しました。
結論ですが、面白かった!!!
人間の裏表が描かれたシーンが多く、人物描写がかなり上手い印象ですね。本作の監督であるアスガー・ファルハディー監督の作品を鑑賞したのは初めてでしたが、評判に違わぬ面白さでした。イランが舞台ということで日本と違う文化が最初違和感ありましたね。借金で逮捕されたり落とし物届けただけで英雄扱いされたり金払えば死刑が免除されるって日本じゃあり得ないですし。後半はあまりそういう違和感のあるシーンは少なくてすんなり観ることができました。
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金貨の入った鞄を拾い、それを持ち主へと届けたラヒム(アミール・ジャディディ)。彼は借金が原因で逮捕された仮釈放中の囚人であったことから「私利私欲に負けなかった模範的な人間だ」と話題になり、テレビ取材なども受けて広く顔を知られる有名人になった。しかし、彼の性格を知る人の中にはその美談を疑問視する者もおり、ネット上ではその美談が自分の借金返済費用を寄付で集めるための作り話だという書き込みも目立ち始めた。ラヒムは再就職や寄付金のために、美談が真実であることを証明するために奔走する。
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まずはイランの法制度や文化風習が日本とあまりに違い過ぎることに驚きます。
借金が原因で逮捕されたとか、カバンを届けただけで英雄扱いされるとか、犯罪を犯しても金さえ払えば刑が減免されるとか。本作のレビューで低評価をしている人の中には、そういう法律的な背景に対して違和感や引っ掛かりを感じている方が少なからずいるようなので、そういう部分は「国が違えば価値観も法律も違うよね」という感じで難しいこと考えないで観ないと、鑑賞の際のノイズになってしまうような気がします。
前半はそういう文化の違いに驚かされるんですけど、後半は日本でも起こりそうなネットでの批判であったり掌を返したような対応であったり障がい者を使って美談を捏造したりという展開になりますので、映画後半ではそういう違和感は無くなってくると思います。
展開が非常に早いので、観ていて飽きないし息つく暇もない。会話シーンばかりなのに中だるみがほとんど無いのは素晴らしいですね。
素晴らしい映画でした。アスガー監督は過去作も非常に評価が高いので、他の作品も鑑賞してみたいと思います。