「試練か奇跡か」英雄の証明 MARさんの映画レビュー(感想・評価)
試練か奇跡か
借金を返せず投獄されていた主人公。そんな中、婚約者が金貨を拾ったが、返済には充てず、ちゃんと落とし主(・・・!?)に返したことから、「正直者の囚人」としてもてはやされるが・・・といった物語。
最近見る機会の増えた気がするイラン映画。
まず、借金が返せないと投獄、って制度があることに驚き。
金貨を手に入れ、一度は返済を考えるものの、良心の呵責の末落とし主を探すことに。
金貨17枚が日本円だとどれくらいの価値かわからないけど、やっぱり囚人という身分と金額の大きさがモノを言うんですかね。落とし物を横取りしないなんて当たり前のことなんだけど、ラヒムはまさに英雄扱い。
そんなラヒムだけではなく、彼を取り巻く人々の動きも考えもの。
貸主のバーラムが印象的。確かに嫌~なヤツだけど、ラヒムが英雄でバーラムが悪者って図式は確かになぁ・・・って感じも。寄付者さんたちは善人なのだろうけど、よくよく考えりゃ落とし物を届けただけのラヒムと、満足に返金されないバーラムに対する目線はもうちょっと冷静になるべきかも。
また、この話を美談として刑務所のイメージアップを図る所長たち。見事なまでに手のひらをポンポンと返しまくる姿はもはや滑稽。シアヴァシュの件は許せませんな。
あとはタクシー運転手さん。味方してくれるのは嬉しいけど、あそこまで出しゃばって喋られると逆に怪しすぎでしょw下手くそかッw
それと、本筋じゃないけど、「殺人だから膨大な金額が必要」・・・って。
仮に金が集まれば許されるの!?だとしたら超大富豪であれば・・・なんて恐ろしい事を考えてしまった。
全体を通し、ツッコミ所も多いし、ラヒムも嘘つきだから「英雄」ってなんぞや?と思ったけど、それ以上に彼を取り巻く者達の動きやコロコロ変わる対応に深く考えさせられた作品だった。
ここでも、被害を被るのは罪の無い子供たちか。。