劇場公開日 2022年4月1日

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「痛だだだだだ」TITANE チタン バスト・ラーさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0痛だだだだだ

2022年5月2日
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鑑賞方法:映画館

怖い

難しい

て感じの映像がずっと続く、スプラッタ系は苦手なのでふと我に返ると全身にすごく力が入ってた
さて、今回映画の上映が終わったあとに映画評論家の人が軽く解説するというおまけがついてたのですが、彼の言うにはLGBTQの問題をテーマにしつつも非常に難解で“ぶっ飛んだ”作品名とのこと
なるほどな~と思いつつも私個人としては意外とすっと入ってきた作品でした
確かにリンチ監督の「イレイザーヘッド」みたいな気持ち悪くてワケわからん作品ではあるんだけど、私はこの作品を“女性の身体で生きる不愉快さ”を描いた作品としてみたのである意味すごく分かりやすかった

そんなに数見てるわけじゃないけどLGBTQを扱った作品て、メインになってくるのが性自認の問題が多い気がする、自認している性とは別の身体を持っていることで生まれる苦悩とか、他人からの認識のずれなんかね、それか自分の性的嗜好の相手が少数派で苦労するやつ、いずれも多様な性のあり方を描きつつ、一人一人を掘り下げると私たちと同じ人間、なにも変わらない、てメッセージがある
ところがこの作品はどうだろう、主人公はよくわからない理由で人を殺しまくり火を放つ、怖い、怖すぎる、
善人でも悪人でも関係なく、性的嗜好は自分で選んでなっているわけじゃない、あえて共感できないような人間にスポットを当てることによってより本当のことを描いているように思える、こんなに荒唐無稽な話なのに
この作品ではむしろ主人公が自分がどう思っているかより物理的に器が女性であることの苦痛が前に出てる、
月経を経験している女性なら「なんでこんな不快なもんが女にだけ月イチであるんだよ、男はずるいなあ」くらいは誰でも思ったことがあると思う
そういう根源的な不利さをダイレクトに妊娠に結びつけている点で確かにぶっ飛んだ作品ではあるだろう
命を産み出すって滅茶苦茶不快なことなんですよ~なんて普通に言ったら大炎上間違いなし
ましてこの映画の主人公は動機もはっきりしない連続殺人犯でおよそ共感できる人物とは言えない
それでも、彼女の痛みや恐怖は怖いほど“わかる”

ここまで肉体と強く結び付いた作品名を男性はどう思うのかは興味があります
夜行バスのシーンのように、こちらが一人でいるとき柄の悪い男性が群れて騒いでいるのに居合わせたときの、あの本能的な恐怖を男性も感じるのだろうか

バスト・ラー
琥珀糖さんのコメント
2022年12月24日

コメント失礼します。
レビュー読ませていただいて、すごく共感しました。
私は上手く整理できなかったのですが、バスト・ラーさんの、
「女性の身体で生きる不快さ・・・」
すごく納得です。
ありがとうございます。

琥珀糖