「人たらしのクズの魅力」レッド・ロケット kenshuchuさんの映画レビュー(感想・評価)
人たらしのクズの魅力
人たらしって少し苦手だ。初対面から人との距離が近いのに、いつの間にか人に取り入ってて、多少生意気だったり他人に迷惑かけても許されたりする。そして異性にモテたりする。
本作の主人公はそんな人たらしの元ポルノ男優。金も定職もないし嘘をつきまくる。でも、気づくといろんな人とそれなりの関係を築いて、ヤクを売りさばく仕事で少しの金を得るようになる。なんか自由に生きている感じだ。本当にクズって感じなんだけど、なんか憎めないんだよな。近くにいたら少し嫌悪しつつも完全には見捨ててないかもしれない。
正直、何かのテーマを訴えるような内容ではない。それなりに大きな事件は起こるがそれもマイキーがクズさを全開にした対応をする。なんだよこれ、と思いつつもそれなりに楽しんでしまった。
そうなんだな、この手の人たらしって嫌悪と同時に自分ができないからこその一種のあこがれを抱いてしまうんだ。ポルノ俳優になりたいとかではなく、何物からも自由な生き方に。でも、決してなりたいわけでもない。だからこそこんな映画の存在価値があるんだと思う。
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