「いろんなものがゆらゆらしていて映画的」レッド・ロケット ONIさんの映画レビュー(感想・評価)
いろんなものがゆらゆらしていて映画的
久々に映画らしい映画を観た。ロケーション、キャスト、演出、間の抜けっぷりの良さ。アメリカの田舎町がいかに映画的か、とも思うが、これは監督の汲み上げたものだろう。むしろ、風景と建物からドラマを生み出してる気がする
かつてのポルノスターの帰還をここまであっけらかん、かつ悲惨な話にしないのだけでと大したもんだと思う。どこかでコメディ、ってジャンル分けされてたけど、まあコメディでもあるけど、何しろポルノ界では著名人だったはずが、田舎に戻って自転車であっちいったりこっちいったりがいい。またそれを捉える16ミリ撮影の風景がいい。履歴書に書けないプロフィールゆえ仕事にありつけず、結局ヤクの売人になりゆらゆらゆらゆら漂い、ドーナツ屋の未成年にポルノスターの原石を発見して手を出して、って書いてると日本でもできそうな物語かもしれないけど、風土の問題か、資質の違いか、とにかくカラッとした人間模様なのが楽しい。
最後には身包み剥がされ、玉をゆらゆらさせて、自転車すらなく、ひたすら歩いて歩いて、たったひとつ残されたものがパッカーんと微笑みを浮かべるラストも素晴らしい。あと母親とか隣人のキャスティングも良かったな。いろんな意味で昔の北野武を思い出した。
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