MEMORIA メモリアのレビュー・感想・評価
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アピチャッ“ポン!”
処女作『ブンミおじさんの森』でも感じたのだが、このアピチャッポン“音”に大変興味がある人っぽいのである。その興味が高じたせいかはわからんが、本作の主人公ジェシカ(ティルダ・スウィントン)が悩ませられる病気=脳内爆発音症候群という奇病にアピチャッポン自身かかってしまうのだ。その病気とコロンビアの山々が描く稜線を何とか結びつけられないか。そんな突拍子もない思いつきから本作は生まれたらしい。
爆発音の正体を探し求め、たぶん詩人だろうと思われるジェシカが、コロンビアのアチコチをふらふらと只彷徨うだけのお話し。といってもラストのとんでもないオチ以外、これといったストーリーはない。2時間ちょっとの上映時間中眠くてしょうがなかった、というのが正直な感想だ。人が眠っているシーンが多いことでも知られているアピチャッポン、観客が寝落ちしたとしても不思議ではない、静寂に包まれた作風は本作でも健在だ。
だがしかし、眠さをこらえてがまんにがまんを重ねたご褒美がまさか…テレンス・マリックもびっくりの理解不能なエンディングに、私のお目目も思わずパッチリ、すっかり目がさめてしまったのである。デビュー作でいきなりのパルムドール受賞、本作でプロデューサーをつとめているジャ・ジャンクー以下大物映画関係者たちも大いに肩透かしを食ったことだろう。
鬱蒼としげる木々や石ころに人類の記憶=メモリアが刻まれているという理屈はまだ許せるものの、それが『ツリー・オブ・ライフ』に出てくる白亜紀をも一気に飛び越えた時代まで遡ってしまうと、それとはまったくつながらないこれまでの展開は一体なんだったのかと、皆さん呆気にとられるはず。第一この映画、麻雀でもないのにやたらポンポンポンポン鳴きすぎなのだ。アピチャッポン、病気で○を少しやられちゃったのかもね。
不思議世界を漂う
意味が分からない。
少ないセリフと意味深なアイテム、そして長回しと差し込まれるカット、これらが何を意味するのか考えても全く分からないし、考えている間に映画はエンドロールに入ってしまった。
恥ずかしながらアピチャッポン監督の作品を見るのがこれが初めてだったが、こんなにもゆったりと漂う感覚になる映画を撮れるとはすごいなと感じた。前半は睡魔にも襲われたが、それ含めてこの作品の1部なのかもしれない。ただ物語を映像で進めていくだけが映画ではないのだ。
そしてラストの衝撃的なシーンは本当にびっくりした。
あのようなシーンを唐突に入れるのは中々離れ業な気がするが、明らかにそこまでの物語から浮いている存在を、何の違和感もなく登場させることができているのは、監督の一貫した演出があるからなのだろうと感じた。
この映画の物語を言葉で説明するのは難しい。というかそもそも言葉で説明することすら野暮かもしれない。この映画の世界を、映画館の中で2時間たっぷり浴びるように体験したあの時間は非常に有意義だったと思える。
ただやはり、何かしらのテーマやメッセージ性のような軸があるから、言葉にできない時間が生まれているようにも感じる。病気、6000年前の人々の骨、幻聴、など様々な要素が、何かしらのパワーになって作品を包んでいる。観客はいつしか主人公に感情移入して、言葉にできない世界を、記憶を体験しているのだ。
よく分からないけど面白い、というのは凄いことだ。
着想はいい。たぶん…
抑制的なカメラワークと演出は、最初はとても緊張感を増醸していたし、謎を深めていたと思う。だけど、主人公に顔のUPは一度もないまま、ほとんどLSショットで押し通す演出は、結局、消化不良しか産まなかった気がする。一旦何を描きたかったのか、ただ誰にも理解できない世界を描きたかったのか、あまりに静かな物語なので、寝息がまちらこちらから聞こえる映画鑑賞は初めてで、観ていてなぜか笑いが込み上げてきてしょうがなかった。
誰かと一緒に観たら、一晩語り合えるね。1人鑑賞は地獄w
映画という旅。
「ブンミ叔父さん」気になってたけどなかなか見れず、この作品でアピチャッポン監督初めて。
お金を払うと口の中に美味しいもの放り込んでくれるような映画ではありません。耳を澄ませて眠気と闘いながら賢人との何気ない会話に耳を澄ませて気付きの旅に出る、、そんな映画。
この話も音が鍵になっていて集中を強制する設定になってるけど、ストーリーというか時間の流れがあるだけであまり意味が無かったような気がする。
知恵の輪やパズルは少し難しい方が萌えるし、とけるとつまらない。
メモリアってタイトルは何だったんだろ?
太古から続く宇宙との関係??
そんな事ウダウダ眠気と闘いながら考えるのがアート系映画の楽しみ方。
昔タルコフスキー初めて観た時の印象に近いかな。
絵の美しさも匹敵する。
アピチャッポン監督はもう少し掘ってみたい。
紐解きたくなる不可解な作品
音で見る映画、アピチャッポンがなせる神の所業
“僕はハードディスクで君はアンテナ”
ティルダ演じるジェシカは突然、地球の核から鳴り響く轟音を受信し、その真相を求め旅立つ。
アピチャッポン・ウィーラセタクン監督の作品は、以前オールナイト上映で鑑賞した。その中でも『ブンミおじさんの森』がとても好きだった。しかし、今回『メモリア』を鑑賞して、ブンミと同等くらいに好きな作品になった。そして、アピチャッポン監督作品は筆舌し難いけど、凄まじい力を持っていると改めて感じた。
本作は、“悠久の時の流れ、石や木やコンクリートに吸収された記憶… すなわち土地や自然、物質、そして人間の身体に宿る記憶を巡る物語” であると考えられる。連綿と続く歴史の起源を音で辿る表現が非常に面白くて、それはアピチャッポンが成せる神の所業であると感じた。
また、全編に散りばめられたエピソードはどれも遠いような気がするのだけど、すべてが密接につながっていて、ハッとするような瞬間が幾度となくあった。1回の鑑賞では拾いきれてない部分が多々あると思う。記憶は個人の脳内だけに内在されるのではなく、他者と共有できるもの… “僕がハードディスクで、君はアンテナ”というセリフが象徴的で、ティルダ演じるジェシカが他者の記憶につながるアンテナのごとき役割を持っていて、他者に触れると相手の記憶が自分自身のもののように蘇ってくる… なんという深淵なテーマ。めちゃくちゃすごい。
趣旨を完全に理解しきるのはもう不可能…?
今年71本目(合計344本目/今月(2022年3月度)13本目)。
大阪市では1週間遅れかつ、私自身も色々はしごするために1分単位で移動という厳しい状況。
さてこちら。かなーり変わった映画です。映画というより(まぁ、映画館でやってば映画とは言えますが)、もはや「2時間1900円(一般の方で割引デーなどでない場合)で寝られる権利枠」とさえ言えるんじゃないか…というようにわかりづらいです。
とにかくヒントを得ようも何も、セリフがほとんどない上に、聞こえてくるのは水などのせせらぎ音等が大半で、放送事故か何かとさえ思えるほどの「静止画が延々続く」状況なので、何がどうなっているのか正直不明です。セリフさえちゃんとあればある程度、「背景に隠されたメッセージ」など読み取ることが可能ですが、この映画ではちょっと難しいのでは…(少なくとも、ここでみなさん無理と書かれているので、程度の差こそあっても、おそらく同じような結論になりそう)という印象です。
去年だったか、2021年、「登場人物が何も出てこず、延々と歴史的遺産がずっと流される」映画がありましたが(そして、太陽系の海王星との通信が何とかといってくる映画。シンカさんでしたっけ…。タイトル忘れた…)、あれに近い感じです。「内容を理解する」こと自体が難しいので(先に述べた映画は、シンカさんが公式アカウントで色々情報発信していたのでわかった点もあったけど、こちらは情報発信も少なめ)、正直わかりづらいです。わかりづらいですというより、わからないんじゃないか…とさえ思います(ヒントがないので、手掛かりがない)。辛うじてわかる、コロンビアやその自然などの部分なのですが、これらが何を意図するのかは色々調べましたが不明でした(南米の話なので、日本ではなかなか調べにくい、という事情もあります)。
先に述べた映画(ちょっと思い出せない…。シンカさんのあの映画)が、去年2021年に「映画版五種競技状態?」と書きましたが、こちらの作品は「同・2022年版?」というような状況です。とにかくわかりづらいことこの上なく、一方で、まさか「本当に意味なし、2時間で1900円(相当。映画館の料金は国によって異なる)の癒しを見るだけの映画」というように解釈するのは無理なので、何らかメッセージはあると思うのですが、正直、これを調べきるのはもう無理があるんじゃないか…と思えます。
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(減点0.8) …という点が全てで、結局のところ「何を述べたいか理解が本当にできない」という点に全部尽きると思います。ここのサイトでも一定の考察をされている方もいますが、正直何が正解・不正解なのかすら不明です(パンフレット等も売り切れていた)。
とはいえ、「積極的悪害を持って、意味不明な映画を流す」類型(今年だと、大怪獣~クラス)ともいえず、南米の方が見れば「当たり前じゃん」となる可能性もあるわけであり、日本版だけあることないこと付け加えることもできず、結局のところ「日本で公開するにあたって、日本での一般的な視聴者の理解水準の配慮不足」という、映画に関係しないところ(供給会社のお話)になってしまい、そこまで減点するのもどうか…とは思えます(まぁ、しいていえば、「日本の皆様へ」という趣旨で、最近は日本も一大マーケットですから…よくありますが(「ロスバンド」ではあった)…それ程度はあっても良かったかなと思えますが、予算がかぎられていると明らかにわかる映画で、そこまで求めるのも難しいです)。
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要するに、つまらん。
内容を説明しずらい
ひたすら静かな映画に「爆発音」という異質なブレンド。
正直、何度か寝落ちしそうになりました。
パルムドール賞の経験があるアピチャッポン・ウィーラセタクン監督がティルダ・スウィントンを主演に迎え、コロンビアで製作した作品。
去年のカンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞したことで今作を知り、観賞しました。
「ブンミおじさんの森」でもそうですが、ロングショットで非常に静かな場面が多いです。
長回しのカメラショットに音楽が演奏シーンとレコーディングスタジオ以外入らない、環境音のみで構成。
そこにコロンビアという南米ならではの要素も絡んできます。コロンビアの事はあまり知らない事の方が多いので、今回アマゾンやコロンビアの文明が入ってくるのが興味深いです。
ちなみに、今作のお気に入り場面はレコーディング・スタジオの場面。
そこで主人公の聞いた爆発音を再現しようとするのですが、色々と面白かったです。
自分は音響やフォーリーの勉強してた時期があっただけに、今音響スタジオで働いてる同級生なら爆発音をどう再現するだろうと気になりました(笑)
もしその学校にまだいたら、自分もそうしたかもしれないですね。
正直話は非常に難解です。
説明的な場面がほとんど無いので、映像や音などで感じなければなりません。
それに加えてスローテンポでロングショットなので、僕は正直何度か寝そうになりました。
(完全に寝落ちはしていない。)
また、英語圏のティルダ・スウィントンがスペイン語圏のコロンビアで花屋を営んでる設定は少し違和感があります。
恐らくイギリスの資本が入ったことでそうなったのかな?
恐らく何度か観れば僕も「素晴らしい!傑作だ!」と言えるようになるかもしれませんが、もう一度観たいとはそんなに思わないです。今のところは。
それにしても今作、カット数が相当少ないですね。
恐らく50カットあるか無いか、くらいかも。
題名どおりの映画でした。
独身だった頃、仕事が終わった後に、金曜日の夜よく映画鑑賞した。もう、30年以上も前のことだ。
用事があってどうしても都合がつかず、午後8時半からの上映会に出かけた。見終わって、午後十一時を回っている。通常なら、もう就寝している時刻だ。観客は私を含め6名。私以外は二十代の若者たちで、夜こんなおじいさんは珍しいだろう。
視点が意表をついていて、今まで全く気づかなかった。二十世紀に入り、エジソンが蓄音器を発明して始めて、人類は音による記憶(メモリア)が可能となった。
それまでは絵画しかなかった。ラスコーの動物絵は紀元前の絵だ。音による人類の歴史または自然の歴史をたどる映画だった。故に映像ではなくが自然の音や人間の生活音がメインである。また、音が時々カットされ、映像だけになる。音が無い世界を体験させる意図かと思った。
雨音、川の流れなど水の音がよく使われる。水は生命の誕生や保持に欠かせないものだから、生の象徴だろう。一方、古代人の人骨の発掘や何代にも渡って転生し人類最古の音の記憶を持つ男の寝姿が死体そのものに見えるのは、死の象徴かと感じた。生と死の繰り返しが歴史となる。
しかしながら、あの意味不明の衝突音或いは激突音の正体が、「未知との遭遇」だなんて思いもしなかった。てっきり、銃の発射音、殺害目的で家に押し入ろうとドアと叩く音、或いは恐竜・マンモスの足音と想像していました。
余談だが、グスタフ・マーラーがあともうちょっと長生きしてくれたら、彼の指揮による自作曲の録音が聞けたかもしれない。残念だ。
何だかよく分からないまま終わった……君はイニシエーションを受けられるか?
よく分からん……なんだったん……
とりあえず思い返しながらまとめるとあらすじはこう。ネタバレ。
ジェシカ(演:ティルダ・スウィントン)は頭の中に破裂音が鳴るようになる。
それ以降、不思議な現象に見舞われる。
本人の話してないことを聞く、存在しないサウンドエンジニアのエルナンに会うなど……
憔悴したジェシカは知り合った考古学者に誘われ、街を離れて古骨の発掘現場に赴く。
発掘現場近くの村で、破裂音の多く聞こえる川を見つけ、そこで自称「全てを忘れない男」エルナンに会う。
エルナンのサイコメトリー(のような何か)と相互作用が起こった結果、ジェシカは世界の音を聞いていたことを悟る。
その後のジェシカは杳として知れない。エルナンはあの破裂音を聞く。
みたいな感じ。
以下は自分の解釈や感想など。
どうも破裂音というのは聞き取りやすい大きなイベント、みたいに思える。
UFOはその特殊な1つで、ガイガーカウンターとか「放射線が…」って説明から核爆発とか、ラストの噴火とか、世界のどこかの・いつかのイベントを破裂音として聞いている。
犬の話は姉さんの夢を聞き取ったもので、内容が取り留めないのもそれで、エルナン(川)に夢は見ないのか聞いたのもその関連かな。
エルナン(音)を含む何人かは力が見せるアバターといえばいいのか、エルナンからイニシエーションを受けさせるためのガイドっぽい。
深夜や昼間病院の駐車場で車がパカパカしたのに人が来ないのも、多分能力の暴走で車の音を聞いていたんじゃないだろうか。
全てを忘れないエルナン(川)はラテンアメリカだしフネスか!と思ったけど寝てて笑った。
エルナンに会うのに向こう岸に渡ったのもやっぱ彼岸関連なんじゃねーかな。曇ってるのにあそこだけ燦々なのもおかしい。
映像が自然な光の当たり方してるのに美しくて良き。
2時間座ってティルダ・スウィントンは贅沢な時間の使い方した感ある。
熱出てるときに出社して朦朧としてるときの体感に似ている。
眠気を誘うようにできているというよりは、現実味をカットされるような映像なんだろう。マジックだなー。
音楽が殆ど無くて環境音ばかりだから、身じろぎで音を立てることもできないのが窮屈で面白かった。
自分の立てた音が映画に紛れ込んでしまいそう。
そういう意味で映画と自分の音的な境界線がない、特殊な映画だった。
これ良い映画って言っていいのか分からん……
分からんけど、非現実に没入できるのは凄い映画だ。
でも総じてレイトショーで1000円で見ると「えらいもん見た……」ぐらいの価値かなと。2回目見たいけど定額でまでという感じな……
でももっかい見たいなー。面白かったなー。
レビューが消えた😲 「制御できない記憶の嵐」
初日にこの映画を見てその日にレビューを書き投稿しましたが、5日後に消えていました。拙文に共感およびコメントを寄せて下さった皆様、すみません。初めてのことで驚きましたが、備忘録としてレビュー欄は重宝しているので頭に残っていることを書きます。この映画にふさわしく記憶を辿りながら。
太古の森、アマゾン、アフリカ、アジア、ヨーロッパのどこにも大昔あったであろう密林、草、川、湿気。その中で聞こえる雨の音や川のせせらぎは水が好きなので気持ちが良かった。ただ大きい音は苦手なのでそのたびにビクッとした。全てを記憶するから目に入るものを制限しているエルナンは夢を見ない。睡眠は彼にとって死である。夢や記憶に苛まれるのは辛いことでもあるので、エルナンが少し羨ましいと思った。でも目を開けたまま眠っている顔は怖かった。
記憶のことでジェシカが一度だけ泣く。その「泣く」に共振して自分も少し泣いた。
最後のあれがなかったらもっとよかったのに。
評点できませーん
とても深い物語です。
良かったと…思います…
とうとうティルダがとんでもないもんになっちまった
神様になったり魔女になったり姿を見せない謎のナレーターになったりエンシェント・ワンになったりと、いろいろな役になることでお忙しいティルダ・スウィントン姉さんですが、とうとうここまで来ましたか。来ちゃいましたか。なんだこれ。マジっすか。
そんな衝撃のラスト10分。
これだけ客が無言で帰る映画も久々でした。
そりゃ無言にもなりますわ。
謎の爆発音と謎の青年。微妙に噛み合わない知り合いとの会話。謎のわんこと謎の骨。
まさかあんな終わり方するなんて、予想出来るかこんちくしょう。
なお、個人的に一番驚きだったのが、この作品の監督がタイの方だったということでしょうか。
同じ名前の男が出てきた時点で、ガルシア・マルケスの『百年の孤独』みたいだなと思っていましたが……監督コロンビア人じゃなかったし。
妄想の深淵
強烈な耳鳴りに苛まれる女性の話。
全シーンを通じたっぷりの間で描かれていて兎に角また~り。そして時々耳鳴りの音。
終始耳鳴りがしている様な口ぶりだけど、そんな気が狂いそうな状態にもみえない落ち着きっぷりの中、不思議な体験をし、そして不思議な人と出会い…ってすいません、私には何一つ理解出来ないし何も入ってこないんだが、と思っていたら某飲料メーカーのオブジェ風なヤツ…。
信じる人向けの作品?それとも信じていない人向けの布教的作品?そんな風にしか思えなかった。
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