「モノクロームであることを忘れるくらいにカラフル、いつまでも観ていられる痛々しくも愛らしい現代劇」パリ13区 よねさんの映画レビュー(感想・評価)
モノクロームであることを忘れるくらいにカラフル、いつまでも観ていられる痛々しくも愛らしい現代劇
あるワンシーンを除く全編モノクロームの作品ながら、描かれている世界は極めて現代的でシニカルで何より多彩。ゆえにモノクロームであることすら途中で忘れてしまうくらいにカラフルで刺激的。高学歴なのにコールセンターのオペレーターをやっている台湾系のエミリー、高校教師を休職して上級資格取得を目指すアフリカ系のカミーユ、32歳まで暮らしたボルドーを出てソルボンヌ大学で法律を学ぼうとするノラ、それぞれに心に傷を持つ者達がそれぞれの環境でボロボロに傷つき、お互いに慰め合ったり激しく口論したりしながらお互いに必要な距離感を探っていく話に身も蓋もない下ネタと切れ味鋭いエスプリがてんこ盛りで激辛。主要な登場人物が皆個性的で愛らしくて、終幕も爽やか。いつまででも観ていられる美しい作品でした。
確かに性描写は文字通り赤裸々ですが、表現のごく一部を切り取ってR18+っていうレイティングを貼る国ってホント恥ずかしいと思います。そこに確かにあるものを見せなかったり遠ざけたりモザイクをかけたりしたところでなかったことには出来るわけではない、そんな当たり前も解らん国なんかなくなってしまえばいいと激しい怒りに駆られます。
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