「体でつながるのは簡単でも心でつながるのは難しい」パリ13区 とぽとぽさんの映画レビュー(感想・評価)
体でつながるのは簡単でも心でつながるのは難しい
夢物語じゃない人間らしさが詰まっていた気がする、それはときに厄介でときに愛しい。
セックスでしか関係を築けない女性と、ある体験からセックスに対して恐怖心が芽生え誰かと関係を築くことに消極的になっている女性。対照的な2人の女性と、そばにある愛に(気づけないというよりは)蓋をして遠ざけていた男性。白黒の世界がグラフィックノベルの世界をしっかりと、色がないからこそ、鮮明に生き生きと描いていた。エイドリアン・トミネの原作をジャック・オディアールが映画化するという最高すぎる組み合わせで楽しみにしていた本作!しっかりと原作の空気やエイドリアン・トミネらしさが出ていたと思う。主人公女性の絵が頭に浮かんできそうなほど。
あなたの性生活は?一時的なつながり。現代らしい活発な13区の多様性の中に、リアルな感情の揺れ動きや人間観察・描写があった。だからこその最後のあの美しく晴れやかな、少し報われたような気持ち。みんな素直になれたらどれだけいいだろうか…。お互いを本当に理解するのには時間がかかるけど、その回り道も決して意味がないわけじゃない。一歩一歩と歩み寄ってはまた少し離れてくっつく。
コメントする