劇場公開日 2022年12月23日

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「大人になり切れない男を演じたらショーン・ペンの右に出る者はいない」フラッグ・デイ 父を想う日 和田隆さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5大人になり切れない男を演じたらショーン・ペンの右に出る者はいない

2022年12月22日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

 ショーン・ペンが演じる、子どもたちが幼い頃のジョンは、“平凡な日々を見違えるほど驚きの瞬間に変えてくれる”父親で、子どものような心を持って家族を喜ばせようとした。そんな父親との思い出は、子どもたちにとってかけがえのないものとして鮮烈に記憶に残っている。監督ペンは思い出のシーンを8ミリフィルムなどで撮影し、楽しく輝いていた幸せな日々を表現。映画を見ている者のそれぞれの懐かしい記憶を呼び覚ますのではないか。

 しかし、やがてジョンの素顔が、家族から逃げ、事業の失敗を他人のせいにし、言い訳ばかり並べ、無意識に嘘をつくような、どうしようもない男だということが明らかになるのだが、役者ペンはこの良き父親と落ちぶれてしまった男の二面性を見事に演じ分けてみせる。大人に成長し、久しぶりに会った娘ジェニファーの前で良き父親を演じようとする様は切なく、役者ペンの真骨頂と言えるだろう。

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和田隆