「奇跡と狂言」ベネデッタ MARさんの映画レビュー(感想・評価)
奇跡と狂言
奇蹟を起こすと言われる修道女のベネデッタと若き女性バルトロメアの秘密の関係と、彼女を取りまく修道院と教会の複雑な物語を描いた作品。
初っ端から悪党と小鳥のフンの展開で、只者じゃない雰囲気を漂わす少女のベネデッタ。大人になり、ついにはキリストと会話したと言い出す彼女の体には、聖痕と呼ばれる傷跡が発生し、彼女に対する畏敬や疑念が渦巻く物語が始まっていく。
なかなか難しい作品ですね。ワタクシ自身は信仰とかは無いのですが、序盤はすっかりベネデッタの話は全て本当のように感じたが・・・バルトロメアとのやり取りから、徐々にその心の内に疑いを持ち始め・・・。
勿論、純粋な信仰心などを持つ人達も描かれる一方で、やはりここでも影響力が強いのは「権力」なのか。クリスティーナと、彼女を守り切れない元院長の所とかモロにね。そして、それすらも利用する強かさよ…。
果てして、聖女とされるベネデッタの事を本当に信じた人はどれだけいたのか?民衆はともかく、お偉方たちの中には果たして一人でもいたのかな?そして何より、本当に信仰心を持っていた者は・・・?
ワタクシには感想を文字起こしするのは中々できませんな。ただ、信仰と権力と・・・はこの時代でもなかなか切れないものなのか。そのあたりをリアルに、生々しく描かれていて非常に見応えがあった。ラストに向けての流れはまさに圧巻でしたね。
ちょっと長すぎるなぁ~というのと、ワタクシに何かしらの信仰心があればより高評価、あるいは低評価だったのか、とか考えちゃったり、ちょっと過激な描写がしつこかったかな~という印象でこの評価だが、それでも終始引き込まれたし、☆4.5にも最も迫ったとも言える、なかなかの傑作だった。