「掛かり気味」アネット ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
掛かり気味
レオン・カラックス作品初鑑賞です。いきなり飛び込むにはハードルが高いと言われていましたが、そんな事はないだろうと思い切って飛び込んでみました。
いや〜頭のおかしい作品でしたね。やりたい事全部詰めの渋滞映画でした。
最初のロックオペラは音楽の好みもありとてもワクワクするものになっていました。このテンションなら楽しんでいけるなと思いましたが、そうはいかず…。
アダム・ドライバーはつくづくすごい俳優だなと実感させられました。直近の「最後の決闘裁判」といい「ハウス・オブ・グッチ」といい、嫌ーな奴を演じさせたら右に出るものはいないと思えるくらい良いキャラクターをしていました。ただ、物語に活きていたかというと微妙な感じでした。スタンダップコメディは一つも面白くありませんでしたし、嫌ーな奴くらいで止まるなら良かったのですが、つまらないサイコパスの領域に達してしまったが故に物語を停滞させているようにも見えました。ずっとオペラを歌っているのも鼻についてしまいました。
あと意図的なものだとは思いますが、娘アネットの完全に人工的なもので作られておりとても奇妙でした。ここまで感情の起伏がなく目が据わっているのなるとこうも怖いんだなと思いました。
終盤に差し掛かるまではつまらないなと思っていましたが、終盤になりアネットが父ヘンリーの殺人を暴露して獄中にぶち込まれたあたりからだんだん面白くなってきました。アネットが父親を突き放す会話をするあたり子離れ、巣立ちのメタファーのように思えてフフッと笑えました。
OPとEDでスクリーンの壁を打ち破って観客に語りかけてくる演出はわりと好きでした。
鑑賞日 4/17
鑑賞時間 19:45〜22:10
座席 D-9