「映画としてはわりといい出来」機動戦士ガンダムSEED FREEDOM あきかんひろいさんの映画レビュー(感想・評価)
映画としてはわりといい出来
正直SEEDとDESTINYはキラとラクスが肯定されすぎていて嫌いだった。
なんでこいつらの行為は毎回無条件で受け入れられるのか、今もさっぱりわからない。
主人公だけが嫌いなアニメだった。これが前提。
ひょんなことから映画観に行くことになって、最初は背景とキャラのスケールが合ってないとか等身変とかカメラ寄りすぎて何が起こっているのか全然わからない今の酷い萌えアニメと同じ構図だとか、問題点ばかり気になっていた。
んだけど、なんというか途中からあれ?という感じになってきて、随所にちりばめられた小ネタで気をそらされて、いい感じに盛り上がっていく話に意外と悪くないんじゃないこれと変わってきた。
まあ確かにあざとい部分もなくはないんだが、映画館で集中して観る分にはこういう遊びもあっていいと思う。
映画の楽しさってのがあったんだよね。細かいこと考えないで観るにはこれくらいがちょうどいい。
2時間の制約がいい感じでSEED本来の悪さを中和していた。
これは映画館で観ないと多分成立しない。細かいこと考えたら終わりだから。
結局TV版はどちらも最後憤慨して「なんでそうなる!?それでラクスとキラが許されるのか、おかしいだろ」と思っていたので、こう結末されると「最初からこれをやっていればなあ」と思うくらいは納得してしまった自分がいた。
20年かかってやーっと自分の中でSEEDが終わったと思う。
いや始まったのかも。TV版は始まってすらいなかった。
富野由悠季と同じテーマ性を作れるわけもないんだから、ガンダムだって他人の作ならこれくらいでよかったのにというラインはちゃんと超えていたと思う。今回だけは。
ただそうなるとあのTV版が好きというちょっとあれな人にとっては駄目かもしんないけど。
TV版のあの酷さに挫折した人間はまず映画館行かないだろうし、どこに向けてこれ作ったのかと問われると疑問がなくはない。
なんだかんだでじっと観続ける変な人もいるんだろうなあ。自分もそうだったわけだけど。
やっぱりエロを見せるためのエロとか、批判するためにあったグロ描写がほんとにただのグロを見せるためのグロとして連発されてそれすらワンパターンすぎたりとか、今のサンライズらしい悪さはたっぷりあった。
冷静に考えたら悪役最強のくせに、主人公に配慮して絶対最悪の結果だけは出さないという噛ませっぷりもひどいな。
普通に最初の目標撃った方が終わっていたのに怒りに任せて変えるとか、そんだけボロクソやってまだ殺せてないのとかもね。
結局今回も強引な方法を力で押し返して無理矢理否定し直してゼロに戻しただけで、別に根本の解決はしてないしな。
愛にすり替えてもタカ派は納得しませんよと。笑われるだけ。
最後と言いつつ、続き作ろうと思えば実はいくらでも作れるよねえ。
まあガンダムはいつもそうだけど。
アムロの失敗から何も成長しないまま40年以上戦争だけやり続けている。
この世界が厭戦感情に包まれることはあるのだろうか。
バンダイある限りないか。