劇場公開日 2021年12月3日

「189と言うダイヤルの存在と強く生きることを教えてくれる作品」189 ヤケさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0189と言うダイヤルの存在と強く生きることを教えてくれる作品

2021年12月5日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

知的

「虐待」「児童相談所で働く人間」「それを取り巻く人間」を描いた人間ドラマ作品です。
当然痛々しいシーンも存在しますので見ていて辛いと感じることも多いかと思います。
それに加えて虐待をしてしまう加害者家族を含めた登場人物それぞれが抱える苦悩や、ままならない児童相談所の職場環境などにやり場の無いやるせなさを抱きつつ共感を得てしまう所が辛かったです。
それでも中山優馬さん演じる坂本大河を始め作中の人物はそんな苦悩を受け入れ子どもの命を守ることに全力を注ぎます。強く生きる姿を渾身の演技で見せてくれます。
それと併せてエンドロールと共に流れる主題歌「東から西へ」。
この曲の歌詞を聞き入れながら迎えた終演後には、勇気とも希望とも言い換えがたい「強く生きよう」と言う想いが胸に残る。そんな作品でした。

189と言う児童相談所虐待対応ダイヤルの存在や児童相談所の抱える問題、虐待の存在への周知・啓発を目的としつつ「虐待は絶対悪!」「お役所仕事なんて糞喰らえだ!」などと単純な感想が出るのではなく「何故虐待が起こってしまうのか、どうすれば虐待を受ける子どもを、虐待が発生している家庭を救うことが出来るのか」「ただ生きるのではなく強く生きることがどれ程困難で苦悩に満ち溢れていることなのか。それでも強く生きると言うのはどういうことなのか」「子どもを育てることや教育は何が正解で何が間違っているのか」など、様々な思慮が浮かぶ作品だと思います。
是非家族や知人友人と共に鑑賞して作品を通して得た考えを共有して欲しいと強く思います。

ヤケ