「弱さとは強みであり」前科者 室木雄太さんの映画レビュー(感想・評価)
弱さとは強みであり
物静かに、丁寧にページをめくる様に、映像は繋がれていく。感情のメリハリが印象的で、演者それぞれが込めた熱意が、節々に表れていた。喜びと悲しみが、時に悲劇をも交差させるのが人生。選択が許されない舞台の中で…善と悪とで割り切れないのが社会だと、私も確信しているのだが、社会がそれを許さないこともまた、承知している。そうした世の有様は、当然フィクションではないのだ。救いとは、救うとは。本作の中に答えはある。映画とは“裏側の心理”を丁寧に表現する装置であるとも思っている。本作は、その道具としての機能も最大限発揮させた優良な作品である。役者一人一人の見事な表現に触れ、二度涙を流していた。
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