「【”国策ですから、住んでいる場所から、とっとと出て行ってください”と後期高齢者の方々に国は冷たく通知した。”地上げ屋の様な行政の姿勢に戦慄した作品。】」東京オリンピック2017 都営霞ケ丘アパート NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”国策ですから、住んでいる場所から、とっとと出て行ってください”と後期高齢者の方々に国は冷たく通知した。”地上げ屋の様な行政の姿勢に戦慄した作品。】
ー ”国策”・・・言わずと知れた先日終わった東京オリンピックである。
当時の東京都知事、石原は今作の舞台になった都営霞ヶ丘アパートを
”あんなみっともない建物を諸外国に見せるな”
と2度言ったそうだ。ー
◆感想
・その後、新国立競技場が白紙撤回されたにもかかわらず、都営霞ヶ丘アパートへの行政からの一方的な移転通知は翻らなかった。
ー 理由は明らかである。
そして、後期高齢者たちは、不自由な身体で、不安な心を抱えながら、次々にアパートを出ていく・・。この作品では、後期高齢者たちの戸惑いや、それでも行政の指示に従い、家を出て行く姿を淡々と映し出している・・。ー
<いつから、日本は戦後の発展を支えて来た方々の終の棲家を、一方的に”移住せよ!”などというどこやらの共産圏と同じ国になってしまったのであろうか・・。
今回のオリンピックを否定する気は無いが、あの全国のTVの前の歓声の陰で、苦渋の選択を行政から一方的に強行された人たちがいたという事実は、忘れてはいけないと思った作品。
最後に流れるテロップも苦い想いで見ていた・・。>
<2021年10月10日 刈谷日劇にて鑑賞>
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