「緋里阿、試写会ハズれたってよ。」ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー VOLUME 3 緋里阿 純さんの映画レビュー(感想・評価)
緋里阿、試写会ハズれたってよ。
かつて銀河のお尋ね者達で結成されたチームが、今や相変わらずのお騒がせ度ながらも立派な正義のヒーローチームに。
今作は、長らく語られてこなかったロケットの悲痛な過去が語られ、最後の戦いを通じて、ガーディアンズの面々はそれぞれの「あるがまま」を獲得していく。
メインとなるロケットは勿論、今作は特にネビュラの活躍ぶりが目覚ましく、かつて敵として登場した彼女が、個性的なメンバーに怒りつつも名サポート役に立っているのが感慨深い。左腕のギミックや、アイアンマンを彷彿とさせる飛行装置、負傷しても自己修復し復活する等、サイボーグとしての側面も強調されていて、アクションのどれもが見ていて楽しい。
これぞクライマックスとばかりに、全員集合したガーディアンズが戦いに向かう際の、音楽とスローモーションによる最高に“キマった”ショット、廊下で展開される長回しの戦闘シーンは圧巻。
また、ホラー出身のジェームズ・ガン監督だけあって、ロケットの実験時代の恐怖演出やハイ・エボリューショナリーの素顔のグロテスクさにその実力が活かされている。
それぞれのキャラクターが辿る結末も、自らが長い旅を通して見つけた「あるがまま」に従っていたのも良い。
特に、クイルとガモーラの関係性が、決して以前のような恋人関係にはならないというのは素晴らしかった。もしかするとと期待する気持ちもあったが、今のガモーラは、あくまでサノスの犠牲となった彼女とは別人であり、ラヴェジャーズという帰る場所もあるのだ。そんなガモーラの意思を受け入れるクイルの気持ちを、ネビュラが汲んで気にかけてくれているのも良かった。
故郷に帰る者、旅立つ者、新たにチームに加わる者と、メンバーチェンジを経ながらも、ロケットを新リーダーとしてガーディアンズがこれから先も銀河の何処かで活躍しているのだと示されるエピローグのシーンは、完結編としてファンにお別れを告げる上で最高の物だったと思う。
エンドロール中、写真にて次々と提示されるガーディアンズの面々のこれまでの活躍と、最後の集合写真がこれまた何とも“エモい”。
エンドロール後のオマケ映像にて、クイルこと“伝説のスター・ロード”の再登場が示された(恐らく、アベンジャーズで)のも嬉しいサプライズ。それにしても、アイアンマンはスーツを自作する音で別れを告げたのに対して、クイルは呑気にシリアルを食べる音というのが彼らしい。
ジェームズ・ガン監督は、今後はDC陣営の指揮をとる事となるが、マーベルで最後に果たすべき最高の仕事をしてくれたと思う。