「ひどい出来栄え」マーベルズ うそつきカモメさんの映画レビュー(感想・評価)
ひどい出来栄え
ひどい出来栄えだ。ブリー・ラーソンが、今後に期待していないような発言をしていたのが印象に残っていたが、さもありなんと頷いてしまった。
『最後のジェダイ』や『ワンダーウーマン1984』を思い出した。いずれも続編としてワクワクしながら映画館にいき、がっかりして帰ってきたシリーズもの。やっぱり続編は難しいなとあらためて認識した。
気に入らないポイントはいくつかあるが、いちばんの問題点はキャラクターの魅力が不足していることだろう。明らかに多様性を意識したようなキャスティングは違和感を通り越して残念である。非白人で女性の出演者を最低○○パーセントみたいな、製作者側の事情が透けて見える。
マーベル映画でも、『シャン・チー』あたりからその傾向が強まり、『ワカンダ・フォーエバー』『クワントマニア』で決定的になった。なぜか映画の魅力が削がれているように感じるのは、例えばインド系の女優とか、特定の条件を付けてキャスティングする時に、当てはまる絶対数が少なすぎて、肝心のキャラクターが弱まってしまうことだろう。
ディズニー+で視聴できるアベンジャーズ関連の連続ドラマを見ていないと、理解度が低いものになってしまうこともマイナスポイント。ファンにとってはうれしい作り込みなのかもしれないが、あくまでも単発のお話として完結できなければ、観客は取り残されてしまう。
今回マリア・ランボーの娘と、キャロル・ダンバースとの絆の物語だったり、ミズ・マーベルがいかにキャプテンマーベルにあこがれているかなど、最低限のことしか語られていない。ちゃんと予習して劇場に足を運んでくださいと言わんばかり。これは不親切と言わざるを得ない。あまつさえ、この3人がつながって次元を入れ替わる様は、説明が足りなさ過ぎて、置いていかれた気分だった。本人たちが混乱するのはストーリーの面白さにつながるとして、なぜ彼女たちが入れ替わるのかは、観客に現象の理屈を分からせてから進めるべきだろう。
ミュージカルの星も(見ないと何のことだか分かりません)果たして必要なイベントだっただろうかと、首をひねりたくなる。ある意味、ディズニー作品全般に言えることだが、歌唱シーンを、ストーリー上必要なものとして成立させるのに、あんな設定を無理やりこじつけたんじゃないかと勘繰りたくなる。別にアライグマがしゃべったって面白ければ理由など後からどうとでも説明できるのに。
文句ばっかり書いてしまいましたが、『ホークアイ』『シークレット・インベージョン』を見ていた人には、ちょっと嬉しいおまけもありました。ヴァルキリーがゲストキャラで出てきたのも素敵でした。