「ティ・チャラの跡を継ぐ者」ブラックパンサー ワカンダ・フォーエバー bunmei21さんの映画レビュー(感想・評価)
ティ・チャラの跡を継ぐ者
マーベル・ヒーロー作品として、大ヒットした続編。2020年に、主人公・ティ・チャラ/ブラック・パンサーを演じたチャドウィック・ボーズマンが病死した為、続編はどうなるのかと気に病んでいたのだが、別の俳優を立てるのではなく、ストーリーの中でも病死したこととして、製作されたことが、大変、嬉しいはからいだ。
本作は、早すぎたボーズマンへの死を悼み、敬意を表した、作品ともなっている。冒頭は、ワカンダ王国でのチャラの葬儀シーンが描かれ、王国の柱を失った悲しみの中で、チャラの母・チャカが王座に就き、王国を再建しようとするシーンから始まる。これは、出演者と共に、私達、映画ファンからも哀悼の意を表したくなるシーンであった。
ストーリーは、絶対的な力と信頼を携えていたチャラが亡き後、ワカンダでしか採掘できないヴィブラニウム鉱石を巡り、世界各国が戦々恐々となる。そんな中で、新たな敵となる海の帝国・タロカンが出現する。ワカンダとタロカンは、ヴィブラニウム鉱石を虎視眈々と狙う世界への反発を強めながらも、最後の所で、意見のすれ違いが生じ、陸と海の最強国同士が、壮絶な死闘を繰り広げることになる。
今回・、チャラの跡を引き継ぎ、新たなブラック・パンサーとなって立ち上がるのが、チャラの妹・シュリ。シュリ役には、前作から引き続きレティーシャ・ライトが演じているが、若き科学者のチャラの妹としての印象が強かったたため、ブラック・パンサーになるには、線の細さを感じた。しかし、母の死を境に、次第にリーダーとしての資質を開花し、逞しさを備え2代目・ブラック・パンサーとなっていく変容振りは、見応えある演技だった。
作品の映像美という点では、前作を大きくしのぐ素晴らしいものがある。大自然の中に、相反する未来的な建造物が、見事に融合したワカンダ王国の風景、水中の中に、美しく照らし出される敵国の海中都市も、CGを駆使して描かれている。また、迫力ある戦闘シーンも、細かな動きからダイナミックな破壊シーンまで、デティールに拘り、観る者を飽きさせない。流石、マーベルの新作である。
最近は、こうした大スクリーンで、臨場感や緊迫感が溢れ、見応えのあるハリウッド作品が、少なかっただけに、本作への期待も高かったし、それに応えてくれた作品であったと思う。ただ、少し上映時間が、少し長かったかな…。
改めて、チャドウィック・ボーズマンさんのご冥福を、お祈り申し上げます。