「なるほどラブ&サンダー、まさにラブ&サンダーだ」ソー ラブ&サンダー てらゆうさんの映画レビュー(感想・評価)
なるほどラブ&サンダー、まさにラブ&サンダーだ
元々ソーは第1作目から愛がテーマの作品でした。
神様と人間の恋愛、オーディンや母上との親子愛、ロキとの兄弟愛。。。
MCUファン的には爽快なアクションや壮大なストーリーを軸とした3作目バトルロワイヤル(ラグナロク)の評価が高いようですが、私は人間ドラマの色濃い1,2作目の方が好きですね。同じように感じてる方は他にもいると思います。
本作は、ソーが戦禍で失ってしまった愛と、そして愛に向き合う勇気を取り戻す物語になります。
例によって爽快壮大なヒーローものではなく、各キャラに心情描写にスポットを当てた私好みの作品でした。
特に良かったのはやっぱり「最低な気持ち」のキスシーンですね。
自分が傷つくことから逃げてきたソーが、「最低な気持ち」に真正面から向き合った。そしてそこに勇気を出して向かい合ったからこそ得られた愛。儚くも美しくお洒落なシーンでした。
こういったシリアスで素敵なシーンがありつつも、基本的には全編通してコメディタッチ。
ジェーンのソー化もさらっと描かれ、若干中弛みした部分も感じはしたのですが、それを補って余りあるカタルシスが終盤に用意されていたと思います。
・戦う覚悟を決めた子供達に与えられるハンマーのパワー
・自らの命を省みず窮地に駆けつけるジェーン
・そして凛々しく決め台詞を言い放つ新米ソー
アクションも見応えがあり、終盤の爽快感は原点回帰というか、王道的で非常にワクワクしました。
「お前が望んていることは神々の抹殺なんかではない」
ソーのテーマである「愛」をヴィラン側にも落とし込む着地も見事だったと思います。
映画を見る前は、てっきりジェーンがソーの後を継ぎ、ソーはアイアンマンとキャプテン同様にMCUからフェードアウトしていくのかなと思っていましたが、意外なラストにニッコリしました。
フェードアウトどころか、ムジョルニア共々ヒーローとして復活。
そして何より、最後のタイトル回収は唸りました!
やっぱりソーが好きだなと再確認させてくれた傑作でした。