劇場公開日 2021年10月8日

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「不明な点が多すぎてスカッとしない」キャッシュトラック 耶馬英彦さんの映画レビュー(感想・評価)

2.0不明な点が多すぎてスカッとしない

2021年10月10日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 ジェイソン・ステイサムの主演映画は大抵スカッとするのだが、本作品に限っては、リアルに作ったつもりなのかもしれないが、なんとなく冴えない印象だった。とにかく設定が判りにくいのがその理由だと思う。当方の理解は以下の通りである。

 主人公パトリック・ヒルは、正体不明の悪の組織のボスだ。FBIが25年間も捜査しているが、尻尾を見せない。離婚している妻との間に二十歳くらいの一人息子がいて、ヒルの生きがいである。帰省しているときにしか会えない息子との逢瀬を楽しんでいるときに、手下から電話があり、現金輸送車が右に行くのか左に行くのかだけを教えてほしいと頼まれる。やむを得ず近くに車を停めて現金輸送車の行く先を伝えるが、その直後に現金輸送車が襲われて、車の中にいた息子が外に出されて殺される。息子を撃った奴から自分も撃たれて瀕死の重傷を負う。
 退院して回復したヒルは、現金輸送車を動かしている警備会社に内通者がいると睨み、コネクションを使って警備会社に入社する。入社早々に現金輸送車が襲われるが、見事に犯人を殲滅する。しかし次に襲われたとき、襲ったのはヒルの手下たちで、ボスの顔を見るなり、早々に逃げ去る。同僚たちはヒルに不審の目を向ける。

 不明な点はいくつもある。ヒルの手下たちが現金輸送車の行き先を知りたかった理由がわからない。その現金輸送車が襲われたこととなにか関係があるのか。ヒルが息子に上着を取りに行かせた理由は何か。ヒルが警備会社で働きながら内通者を探している間、手下たちは何をしていたのか。どうして現金輸送車を襲ったのか。ヒルをサポートする女性は誰なのか。ヒルの高い戦闘能力はどこで身につけたものなのか。

 わからないことだらけである。これではスカッとしようがない。ガイ・リッチー監督は前作「ジェントルメン」では色々な仕掛けをして伏線を上手に回収していただけに、本作の不出来は残念である。ジェイソン・ステイサムを主演にするなら一匹狼にしないと、個性が活きないと思う。アメリカ映画にしてはわかりにくく、フランス映画のリメイクにしては寂寥感が薄かった。

耶馬英彦
Route193さんのコメント
2021年10月19日

上着の件は息子に話を聞かせたくなかったからだと思いますが、現金輸送車が右に曲がるか左に曲がるかが、何週間もかけて準備してきた最後の決め手というのは、なんともお粗末と思いました。しかも、偶然?、別のグループに横取りされたり。
そういえば、出口から歩いて2分?のところで輸送車を襲ったら、警備会社から応援は来ないんですかね。ちょっと無理のある設定かも。

Route193
じきょうさんのコメント
2021年10月11日

こんにちは
現金輸送車の行き先は、計画のための調査だと思いました。その車が襲われたのは別に同様な計画を立てていたグループによるものだったけど、私も初めは自分たちの計画に自分で巻き込まれたのかなと途中まで思ってました。後のことは説明するまでもないと思いましたよ。

じきょう
eigamitaimitaiさんのコメント
2021年10月10日

わたしもスカッとできなかったので、映画.comでみなさんのレビューを見まくっています。主人公の手下チームが主人公の警備する現金輸送車を襲ったのも偶然なんですかね?思わせぶりでしたよね。ただ、息子に上着を取りに行かせたのは、部下との会話を息子に聞かせたくなかっただけかなとは思いました。

eigamitaimitai