「ここまで来ると滑稽だ…愚かな人間の私欲の果てに感じる作品の芯」成れの果て たいよーさんさんの映画レビュー(感想・評価)
ここまで来ると滑稽だ…愚かな人間の私欲の果てに感じる作品の芯
想像を遥かに上回る、重く力強い作品。幸の薄い萩原みのりの真骨頂と呼んでも良いのではないか、そう思えた。
姉の婚約相手は、自分をレイプした男だった…という衝撃的な所から始まる。一見するとありえないように思えるが、田舎のロケーションが説得力を持つ。昔の話がいつまでもこびり付くクセ、仕事などはどうにでもなるから怖い。そんな特有の関係性が、小夜が帰ってきたことで崩れていく。
実は緻密に作られているのがこの作品の凄み。役回りも皆絶妙に噛み合っていて、目を覆いたくたくなるような痛みを長回しで見せる。さらに、画で説得するのではなく、言葉だけで状況を説明して重みを生み出すから恐ろしい。
その中でも萩原みのりが特に凄い。復讐の為なら誰の弱みを握り、叩きのめすまで荒らしていく。あえて背景を直接的に見せず、台詞だけで過去を描いていくので、痛みを伴った台詞が刺さる。他の人物も欲望のまま、その過去の受け止め方も様々。だからこそ、雪崩のように堕ちていく果てはあまりにも衝動が大きい。
ぜひ、成れの果てまで焼き付けてほしい。悲劇的なコミュニティの末路にきっと開いた口が塞がらなくはずだ。
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