花椒(ホアジャオ)の味のレビュー・感想・評価
全26件中、1~20件目を表示
香港、台湾、中国の姉妹
今、香港からこの物語が届くことに切実さを感じてしまう。 父親が死に、残された料理店を3姉妹が切り盛りすることになる。姉妹はそれぞれ存在を知らなかった。1人は香港、1人は台湾、そしてもう1人は中国本土の重慶で暮らしていた。父の葬式で初めて顔を合わせた3人は、距離感を掴みかねながら、次第に心を近づけていく。 父の火鍋の味を探ろうとする3人の気持ちが、それぞれが知る父の姿を探る姿と重なり、家族のあり方を見つめ直していく。美味しそうな料理がたくさん登場するので、眼福だ。 本作には今の香港をめぐる政治的な要素は描かれない。しかし、台湾と香港と中国本土出身の3人の女性が、1人の共通の父というルーツを持ち、互いの人生を見つめ直すという物語の構造そのものに、何らかの願いがこもっているのではと思わずにいられない。そういう描き方の方が、直接政治的な題材を扱うよりも人々の心に響く何がある時もある。
物語としては悪くはないが、いささか盛り上がりに欠けるのが難
<映画のことば> 父さん、もう怒ってないよ。 今は、ものすごく父さんに会いたいよ。 もともとは旅行会社のOLというユーシューが、賃貸借契約が残っていた父の火鍋店の権利をうってしまわずに、当座に継ぐことに決めたのは、「店の賃貸借契約が残っていて、解約すると違約金が発生するから」というのが、表向きの理由でしたけれども。 しかし、一時(いっとき)とはいえ店を継いだのは、常連客とともに、そこに父の在りし日の面影を感じ取ろうとしたことには、疑いがありません。 火鍋の素が底を突いてしまい、店の営業にも支障が出るようになると、父のレシピを求めて試行錯誤に苦労するのですけれども。 その労苦を厭う様子が、その、何よりの証左だったと評論子は思いました。 レシピも分からぬまま、肝心の秘伝の火鍋の素を切らしてしまい、店が窮地に陥ったときに、店の従業員の要請に応(こた)えて、「助っ人」として現れたのは、他ならぬルージーとルークォという二人の異母姉妹たち―。 そして三人が三人とも、それぞれに苦悩を背負っている生きてきていた。 上記のような話の流れは、映画の素材としては決して悪くはないのですけれども。 しかし、物語としてはいささか盛り上がりに欠ける感が否めず、残念な感じもしてしまいます。 佳作と評するには、いささか躊躇してしまうところで、評論子としては、良作としての評価としておきたいと思います。 (追記) <映画のことば> もしいつか、おばあちゃんがこの世を去ったとしても、私は孤独じゃない。 この世を去るのは、引っ越しと同じよ。 次は、人の心に住むの。 遺族からそう思われたとしたら…。 それ以上に「故人冥利」(?)に尽きることはないのではないでしょうか。 評論子もかくありたいものですけれども。 はてさて。実際は、いかに。 (追記) <映画のことば> 辛さは味覚ではない。 痛覚だ。 人は刺激を加えられると、意識が分散される。 辛味で痛みを感じれば、他の痛みは消える。 いつの頃だったか、「激辛ラーメン」が流行ったことがありました。 世のサラリーマン諸氏は、こぞって食べ、昼休みには大汗をかいていました。 まだまだ日本は高度成長期。 毎年のように賃上げて懐(ふところ)は潤って重くはなっていても、仕事のストレスも、それだけ往時は(往時も?)重かったのかも知れません。
火鍋を作って食べた
この物語は、愛されていることを確認する物語だ。誰かを必要として、自身も必要とする。恋人や親子たけではなく、もっと広く「繋がること」の尊さのようなものを描く。 最初の印象としては、お父さん、あっちこっちに子どもがいて節操ないなと感じずにはいられないだろう。 そんなお父さんの過去や人となりが物語が進むにつれ見えてくる。お父さんのことは分かってくるものの、物語の中心というわけではない。 お父さんの過去が直接姉妹に影響していくということもない。 再現しようとしている火鍋の味も直接的に父のためというわけではないところもいい。 お父さんはすでに亡くなっているのだから、お父さんについてあれこれ考えても仕方のないことである。つまり、物語全体が前を向いているところがいい。 お父さんのことというのは、観ている私たちに「感覚」だけを与えてくれるのだ。 父が亡くなり異母姉妹が集まるというのは「海街diary」を連想させる。長女が奮闘するところも近い。コチラは姉妹の絆をメインに描いたが、雰囲気自体は似ている。 香港版「海街diary」というのは設定以外の内容がかなり違うが「海街diary」が好きな人には結構合うのではないかと思う。 観た日の翌日に火鍋を食べた。
【”一緒に”父の死を機に、互いの存在を知った三人の異母姉妹の癒しと成長を描く作品。香港、中国、台湾のトップ女優の共演も見所です。】
■旅行代理店で働くユーシュー(サミー・チェン:香港のトップスター)は、火鍋店を営む父・リョン(ケニー・ビー)の葬儀で、これまでお互いの存在を全く知らなかった異母姉妹のビリヤード選手のルージー(メーガン・ライ:台湾女優)、ネットショップオーナーのオレンジ入りの髪のルーグオ(リー・シャオフォン:中国女優、「芳華―Youth-」での演技が印象的)と出会う。 すぐに打ち解け、父の思い出を語りあう3人。ユーシューは火鍋店を継ごうと決意するが、父の味を出せない。 又、ルージーはビリヤード選手としての限界を覚え、ルーグオは結婚を迫る祖母との間にしこりが出来てしまい・・。 ◆感想 ・香港、中国、台湾のトップ女優の共演作であるが、民主化で揺れる香港を巡るきな臭い背景は無いようである。 ・ストーリー自体はシンプルで、ユーシューが父の店の後を継ぐ決意をする過程と、ルージー、ルーグオが抱える問題なども描かれながら、三姉妹が力を合わせて、父の店を引き継ぎ、父の秘伝の味を再現するために、努力する中で、亡き父を思い出して行く様を描いている。 <作品が醸し出す風合が良く、又、火鍋を皆で囲むシーンなども、中国を放浪していた事を思い出し、懐かしく思ったな。 個人的には、アンディ・ラウが出演しているのも、嬉しき作品である。>
泣けるシーンで本当に泣けてくる
泣かせようとするシーンで本当に泣けるから演出が上手いんだと思う。 基本的に赤髪の人の台詞が良い。 ドラマサイズになりそうな話を特に過不足なく映画サイズに出来てるの地味に凄い。
久しぶりにDVDで手元に欲しいと思った。 好きな世界観。 次女演じ...
久しぶりにDVDで手元に欲しいと思った。 好きな世界観。 次女演じるメーガン・ライがとても魅力的で インスタ等で探した所、同じ人かと思うほど別人に 見えて凄く驚いた。同時に凄く好きになった。 香港映画いいなぁ。やっぱり好き。
人は誰しも過ちを犯す。そして赦してくれる人を待っている。
父を亡くして、初めて知る二人の妹の存在。その父というのは、理由はどうあれ、自分の子をなした女性を何度も捨てて、結局元の居場所に戻った男。長女が毛嫌いするのも至極当然なのだ。だけど、三人が揃ってからの展開が胸を打つヒューマンドラマ。みんなそれぞれ、背伸びして、きつく当たって、好きに生きてきた。でも、彼女たちはわかっていたと思う、自分が愛されているからこそワガママが言えているんだってことを。愛されていないと絶望していたら、寄り付きもしないだろう。たまに顔を見せることで家族との距離を確かめて安心していたように見えた。悲しいかな、人は、失くしてからその存在の大きさを知る。だから、長女は、何度も何度も父の面影がちらつくのだ。その思い出は、辛い思い出ばかりで痛みを伴うのだけれども、別れの痛みは和らいでいった。そこに、妹二人がいてくれる幸せも感じながら。 そうそう。三人の娘たち、誰が一番愛されていたのか気にしてたね。そこで僕のかつての上司の言葉を思い出した。ある時、二人目の子供の出産を控えた先輩が「今まで一人に向けてた愛情が、これから半分半分になってしまう」と心配していると、「大丈夫だ。今の愛情が100%だとしたら、50%50%になるんじゃなくて、あと100%増えるから」と言った。たぶん、この父の愛情も誰かに偏ったりせず、ちゃんと100%ずつ降り注いていたんだって思えた。それを感じることができた三姉妹の笑顔が眩しかった。
どこの国も親子は同じ
どこの国も親子は同じですね。 お父さんがいい人だった、、、、、、 ? 腹違いの姉妹が3人いる時点でどうなのかと思いつつ。 日本に輸入されるだけはある。良い映画でした。 もう香港映画って無くなるんですかね、、 香港、台湾、中国本土って。
美人3姉妹!それぞれの「中国」
なぜ中国語を喋る美人さんはめちゃくちゃ魅力的に見えるのか…重慶の三女なんておばあちゃん想いでめっちゃええ子やし短髪でフェイウォンみたいに可愛かったな… ストーリーも見せ方もアンディラウも十分に満足できる良作 満足度高し しかし親父見守ってた感じになってたけど普通に外で女作って子供まで産ませたゲスじゃないか? この父親に「今の中国」を見るのは穿ち過ぎか どうしようもない親だけど見守ってくれる父のような帰れるところとしての中国という概念 香港、重慶、台湾の視点から 最近の中華系映画を見ると少なからず政治的なイメージを勝手に感じてしまっていかん
近親者の死に泣けない感情に妙に共感
突然亡くなった父と、それぞれ母親の違う3人の娘たち。「海街diary」を思い出してしまう。でも、あれは3人姉妹で暮らしていた家に母親の違う妹も暮らし始めるって話だから少し雰囲気は違うか。それでも葬式で初めて会った3人がすぐに仲良くなっていくところは似たものを感じてしまう。 今まで別々で暮らしていても同じ父親だから家族なんだという感覚はなんとなくわかる。3人とも友好的だったしいがみ合う必要もなかったのは救われる。そしてラスト。近親者が亡くなって泣けないまま話が進む映画を最近観たばかりだが、こちらの方が断然良かった。3人の娘たちの現在の家族(母親や祖母)との関係もきれいに収まった感じだ。 それでも、長女と麻酔医のエピソードに恋愛要素を入れる必要があったのかは微妙なところ。そこがメインではないからなんとなくごまかされた感じがする。それでもキッチリと泣かされたのだからあまり文句は言えない。
父親はどこで間違ってしまったのか
ユーシュー…香港の長女 ユージー…台北の次女 ユーグオ…重慶の三女 あたまがこんがらがってしまうので、登場人物と住まいをまとめてみました。大陸の地理感覚が全くないのですが、改めて地図で確認すると、姉妹はお互いにとても遠い場所に住んでいるんだなと感じました。 飛行機の距離に住む腹違いの三姉妹。彼女たちは父親の葬儀までお互いの顔も知りませんでした。でもすぐに心を許し合い寄り添います。それぞれに孤独を抱えていますが、全部女性の間をフラフラして一人に決められなかった父親のせいじゃないかと思いました。彼の行いは娘(長女)に冷たくされても仕方ないです。特に姉妹の中で一番割を食っているのは三女だと思います。自分が三女だったらあんな風に健気にたくましく生きていけないな。多分グレて道を踏み外していると思います。 でもみんなの思い出の中の父親はいたって常識的で親切で寛大な男です。なのにどうしてこんな風になってしまったのか。三女の母親と別れてから心を入れ替えたのか?(実際長女の元に戻ってからは再婚もせず男手一つで育て上げています。)いろいろ考えてしまいます。父親の愛と長女の不器用さを思うと、もう少しなんとかならなかったのかなと切なくてラスト付近で泣いてしまいました。 ファイヤードラゴンの火、道教の儀式の炎、縁結びスポットの桃の花、そして火鍋の赤いスープ。色鮮やかできれいです。本場の麻雀牌はあんなに大きいのでしょうか。お年寄り仕様ではなく?異国の文化が垣間見れるところもよかったです。
痺れる辛さと癒やしのひととき、優しい3姉妹のレシピ
グツグツと煮込んで出来上がる、家族の愛の姿。小説を読むように、重層的になっていく父の姿が3人の温かく成長させていく。 最近疲れているのか、誰かを必要とする人に心を奪われて涙する。本作もそんな感じで、自分に足りなかった部分を父が教えてくれる…そんな感じがした。生前はどれだけ悪く見えても、離れてみると良く見えたりしてくる。視点が変わってくることで、気づきをもらえたりする。そういう温かさが画面から伝わってきて、最後は涙腺が崩壊してた。 3姉妹、みんな見事にキャラが違うが段々と安心感を覚える。ビリヤードをしている次女がかなりいい役してたな…。というか、彼女に惹かれて見た記憶。フワッと心が救われた分、書くこと忘れちゃったな…笑。あと、文化の違いを感じられるのもやっぱり面白いところで、香港の景色やワンルーム、火鍋もなんだか魅力的。軽く旅行した気分。 やっぱりテーブルを囲んで、笑顔があるのは観ていて心地よい。その分痛みもあるかもしれないけど、その刺激が忘れさせてくれるよ、きっと。
男は老醜をさらけ出す前に死んだ方が良い
よく映画の題材になるような家族の話で、あらすじはベタで、「いいひと」しか登場しないので、途中からはどう展開するのか読めてしまうような映画でしたが、撮影が丁寧で映像が綺麗、演技と台詞(字幕で見ました)が良いので、「こんなにうまく行くはずないのに」と思いながら最後は泣けてしまいました。 見終わった直後の感想をひとつ 「男は老醜をさらけ出す前に死んだ方が良い」 それにしても火鍋は美味そうです。 このような映画を作り続けることのできる香港であって欲しいです。
腹違いでも、会った事がなくても三姉妹
父の死をきっかけに葬式に集まった腹違いの3人姉妹。 不幸とまではいかないけれど、3人とも自分の家族との関係がうまく行かない事に苛立ちを覚えている。 父が残した火鍋屋の契約が一年残っており、とりあえず3人で火鍋屋の経営を引き継ぐ事に…。 一度も会った事も、存在さえも知らされていなかった姉妹なのに、会って話すとまるで昔からの姉妹みたいに打ち解けていくのは、女性特有のものか。 それぞれの家族と距離を取る事によって、3人の気持ちが少しずつ変わっていく… まるで火鍋の熱が雪を溶かしていくように…って、うまい事言っちゃったな。 ほんわかした気持ちになれる映画です。
とっても良かった!!
仕事の帰りにネットで見かけて速攻で飛んで行って 日曜のラスト回に間に合いました。 私にはどのシーンも優しく語りかけてくれてるような・・ 例えて、人生に必要な厳しいメッセージと 同時に穏やかな優しさも、そこここに・・・ 亡くなったお父さんの火鍋の味を通して 優しさが伝わるような映画で 観ている間中、私まで幸せな気分にも成れました。 また、ゆっくり観なおしたいし 近く、火鍋を食べに行きたい。 何より、映画の中にあるような香港の姿が いつまでも失われることの無いように願います。
いい人たち。
香港の普通の人の普通の生活って感じだろうか。 途中、途中でお父さんの幻みたいのが出てくるのと昔の映像が出てくるやつ、幻は邪魔だったかな。 ビリヤードの人の妹っぽいキャラも、医者ももうちょっと回収してほしかったかな。 まあ、基本はいい人たちばかりで安心して観られる映画でした。
できれば1つのストーリーに集中したほうが良いかも…。
今年168本目(合計232本目)。 ストーリーの展開としては他の方が書かれているので同じことを書いても仕方がないので省略します。 個人的には、ここの特有や予告などから、料理を描く映画かな…と思ったのですが、それは4割くらいで、他はビリヤードの話やら、なぜか中国麻雀やら(下記にて)色々登場します(舞台は香港ですが、日本と文化が似ているのか、招き猫なども出てきます。このあたりは文化の推定が効く範囲です)。なので、「料理映画かな?」と思っていくと肩透かしを食らいます(→そういう方は「劇場版 今日何食べた?」をどうぞ)。 最初はバラバラだった残された人たちがいったんは集まり、また離れ、また集まりかける、その描写は良いな…というところです。料理映画として見ないのなら、このストーリー(家族愛を考える映画)と見るのが妥当なのだろうと思います。 一部、看板などの翻訳が足りていない部分がありますが、その部分は日本中国同じと解して構わないということで、特に「意味がわからない内容」というのはほぼほぼありませんでした(だからといって手抜きをしてよいわけではないですが…)。 舞台となっている香港は、今、リアル世界では中国と色々モメているところですが、香港は香港らしくあって欲しいし、事実上独立国となっている台湾にはちょっかいを出さないで欲しいな、というところは強く思いました。 --------------------------------------------- (減点0.3) やはり、色々なストーリーが登場しますので(とはいえ、残された火鍋店の復活、という筋で見るのが妥当)、やはりブレが生じてしまう点は減点材料にはなるのかな…と思います。ただ、この映画、最後まで見るとわかりますが、中国語のエンディングのほか、なぜか英語版のエンディングも並列して流れます。つまり、英語圏での公開も視野に入れているのではないか…と思えます。すると、日本(や、韓国)から見たそれはかなり類推が効いても、アメリカ等、文化が全く違う国では火鍋店の話ばかりしても理解不能になってしまうので、このようなストーリーにしたのでは…とも思えます。 もちろん、それ「ばかり」というのもどうかと思いますが(それだと、NHKの「今日の料理」でも見てろって話になる)、こういう事情(おそらく、海外進出が前提?)を知らないと、「軸がずれずれだなぁ」という印象は持たれるかと思います。 --------------------------------------------- (減点なし/判断不能) 作品内で、高齢者の方が集まって4人で麻雀をしているシーンがあります。この麻雀牌は中国のもののはずです(日本のそれと比べて、横に2倍、縦に3倍くらい大きい。逆に中国から日本に留学した留学生が大学生活で日本麻雀にふれるときに「なんでこんなに日本のは小さいの?」というのはよくある質問みたいです)。 この麻雀のシーンはなぜか詳しく描かれているのですが、「ロン」の描写はいいんでしょうか…(中国麻雀では、ロンとツモを区別せず、「フー」(和)。得点授受の計算はもちろん日本と同じように違う)。また、これも明確に描かれていませんが、どうもあちらの麻雀でも清一色(らしき役)は得点が高いのか、「すごい点数を振り込んじゃったよ…」ってぼやいているシーンがあります。 ただ、麻雀のシーンはそこしか登場しない(が、なぜか妙に詳しく出てくる。ポンの宣言さえも出てくる)のが救いです(こればかりになると、今度は日本麻雀か中国麻雀を知らないと理解不能な映画になってしまう)。 ---------------------------------------------
全26件中、1~20件目を表示