「raison d'être」SEOBOK ソボク Masuzohさんの映画レビュー(感想・評価)
raison d'être
日韓関係冷え冷えでなんともならん情勢が続き
韓国アイドルも本当に日本でも人気があるんだか
ようわからん昨今ですが
ちょくちょく日本にやって来る韓国映画は
おどろくほどハズレが無いので
これもどうかと観賞
韓国映画ってあたかも学校で映画制作の
プロセスを学んでいる人が作っているような
様々な要素を丁寧に組立てて作ってある印象を
いつも受けます
未分化細胞の研究のため遺伝子操作され
始皇帝の不老不死の薬を追い求めた
家来の名を付けられた人造人間ソボク
脳腫瘍で余命幾ばくかの元工作員ギホン
ほか生と死を司る欲望を持つ面々をめぐる
SFサスペンス
感想としては
割とよくあるテーマながら
不老不死を実現する技術においての
見解のぶつかり合いが終盤に向けて
明確に描かれており見応えがあったと
思います
ポイントはソボクの「素朴」
外界を全く知らないソボクは
米国から狙われる存在なソボクを
守る任務をギホンは任されますが
ソボクにはその理由がわからず
たびたびギホンに尋ねます
ギホンは自らの脳腫瘍を治す可能性を
秘めたソボクを保護することが結局
自分を生かす事になるからと
所詮私利私欲であると答えますが
逃亡の中でトラブルを抱えるうち
互いの身の上を知り友情が芽生え
ソボクを本当に守るために
ギホンは行動するようになります
ギホンも工作員時代自分が生き残るために
仲間を犠牲にした過去があり
自分の脳腫瘍もその罰であると
受け入れようとしているのでした
そのうちソボクを生み出すカネを出した
民間企業は不老不死の技術を権力に使おうとし
研究員はソボクを道具にしか思っていません
育成した母親がわりのセウンは事故死した
息子を蘇らせたかった願いがあり
ギホンの上司はアメリカと繋がっており
死ぬ恐怖が無くなることは支配力の低下に
繋がり危険だという見解からソボクの
抹殺を目論むなどそれぞれ異なる
思惑をソボクをめぐって対峙する事に
なるなんすくみもの描写は見事でした
やがてあたかもア○ラのような
サイコキネシス能力まで持っているソボクは
友情を育んだギホンを助けるべく
研究所に戻りますが
母がわりのセウンが研究所で殺された事を
知ると完全に暴走状態となり周りの人間を
次々に殺害し研究所ごと破壊していき
ギホンやめるよう言いますが
ソボクは「殺してくれ」と嘆願
ソボクを殺すことが自分にとって
何を意味するかを理解して
ギホンはソボクを撃つのでした
死ぬ事への恐怖は
開き直れば強さをもたらすのか
弱さをもたらすのか
生き抜こうとする事が
選択肢を狭める弱さをもたらすのか
強さをもたらすのか
どれが正しいのか
観ているうちに問いかけてくる作品です
映画の展開はよくある感じなので
映画を通したメッセージ性に辿り着き
やすくなるのでしょうか
割と邦画でもそういう作品には
出会えることが少なかったので
また危機感を覚えるところでした
決して予算がたっぷりかけてある感じは
しない作品でこれほどですから感心しました