親愛なる君へのレビュー・感想・評価
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良い人の話だった
ゲイのパートナーの母と息子の面倒を見ると約束し、亡くなった後も約束を守ってたが、母が急死し、薬物が検出された事から、殺人の疑いをかけられるという話。
子供を守るために罪を認めるのだが、それじゃいかんだろと思ってたら、子供が薬について母(子供の祖母)に頼まれ、違法鎮痛剤を多量に飲ませた事を検察官に告げ、ホッとした。
いくらゲイのパートナーの頼みとはいえ他人の母親や息子の面倒をみれるのか、主人公の家庭環境も描くとわかりやすかったかも。
家族を守りたいのはわかるが、子供の母親が出てこない不自然さが拭えないと感じた。
脚本の妙か、徐々に真相がわかってくるストーリーは素晴らしかった。
愛なのか、贖罪なのか?進むほどに入り込めない
本作の舞台は同性婚が認められる前だそうなので、この時の台湾の同性愛者に対する意識ってどうなんでしょうね?まだ混沌としている時代なのかな?中国は同性愛は病気って認識を持つ親が多いし、国としても存在すら認めていないから(ドキュメンタリー映画で描いてました)台湾も偏見は強かったのかなぁ?その辺りを踏まえるとジェンニーの世間に相対する強さは「愛情」の具現化だと思います。
ただ、その愛情は誰に向かっているのか?というのが物語が進んでいくほどにわからなくなってくるんですね。深読みしすぎているのか、僕がひねくれているからなのか?この演出の仕方だと「贖罪」としての行動として見えてしまったのです。愛するが故の嫉妬発言が悲しい事故の原因と考え、ヨンユーから母を奪った罪滅ぼしとして、母がわり父がわりをしていたようにしか見えなくなってしまったのです。ヨンユーや義母への愛じゃないんじゃない?贖罪きっかけなんじゃ?って。
ですから親愛なる君の「君」はヨンユーではなく、亡きパートナーなのでは?と。そうするとヨンユーとのエピソードがどんどんと薄っぺらに感じていってしまうんですよね。さらに結末としてもかなりあっさりですし、警察への自供に関してもやっぱり「贖罪」としか見えないんですよね。
勝手な思い込みですが、この映画はジェンニーとヨンユーの間の愛情であり、時代に抗ってそれを全うしようとする物語なんじゃぁないかなぁ?と思うのですが、そうは見えなかったのです。その要因はやっぱり、演出の仕方ですし、話の持って生き方を失敗している気がします。肝心な二人のエピソードも弱いですしね。
あくまで、僕個人の感想ですが、ちょいと期待はずれだったなー。
【”パパ2号から”息子”へ。”息子”のノートに書かれた真実の言葉。そして”息子”から彼に贈られたピアノ曲と、メッセージが沁みてしまった作品。二人が”テント”から台湾山脈を眺めるシーンも印象的である。】
ー 岳人であれば、死地を共に潜り抜けた友は、一生の友になる事は知っている筈。
哀しいけれど、その逆も同様で、”一生の心の友”になるのである・・。ー
◆感想
・冒頭、ジエンイーは刑務所に入っており、裁判所で裁判官から尋問を受けている。
暗転・・。
・老婦・シウユーとその孫、ヨウユーの面倒を一人で見る青年ジエンイー。
正月の御馳走を作るも、中国から一時帰国しているシウユーの息子リーガンを含めた3人は卓を囲むが、ジエンイーは独り上階の部屋に上がっていく・・。
ー 何かが、ジエンイーをこの家に留めている事が、類推できる。そして、徐々に明らかになるジエンイーと彼らの関係性。物語は静やかに進む。ー
・老婦・シウユーは糖尿病を患っており、その影響で片足が壊死し始めている。
苦痛に悲鳴を上げるシウユーに対し、ジエンイーは献身的に介護する。
だが、シウユーはジエンイーに対し、下僕の様に接する。
”あの出来事は、忘れない・・”と言う言葉と共に・・。
・幼きヨウユーの両親はいない・・。
ー この後、徐々に明らかになるジエンイーとシウユーの長男リエンイーとの関係性と、彼らの間に起こってしまった事が描かれる。
台湾は、平地のイメージがあるが、劇中描かれているように、雲海を下に見下ろす山々がそびえる国なのである。ー
□リエンイーの末期の言葉”ヨウユーを頼む・・”と言う言葉を、自らの愚かしき行為のためリエンイーの家庭を崩壊させてしまった事に悔いを持つジエンイーの、健気な姿が切ない・・・。
・ヨウユーが、ジエンイーが”痛み止め”のために、身体の関係を持った男から手に入れた非合法のクスリ(アヘンかなあ・・。)を老婆・シウユーの願いで何粒も飲ませてしまう・・。
ー ジエンイーが、ヨウユー及び愛した男の家族を守るために、罪を被ろうとする姿・・。ー
・ピアノ教師でもある、ジエンイーが作曲中にヨウユーに”ここは翼が良いよ”と言われるシーンの、ラストとの連関性も良い。
そして、ジエンイーがゲイである事や、検察にシウユーの死との関連性を問われている事実が公表された時の、世間の静だが、ジエンイーへの見方が微妙に変わる描き方も上手い。
・そして、ジエンイーはヨウユーに隠していたヨウユーの父リエンイーとの関係性を、ヨウユーのノートに記す、”パパ2号より”と言う言葉と共に・・。
<ジエンイーの全ての疑惑が晴れるも、養子にしていたヨウユーは、中国に住むリーガンに引き取られている。
ある日、ヨウユーから届いたモノ。そこには、ヨウユーが奏でる拙いが美しいピアノ曲と、ヨウユーが”パパ2号”を励ます言葉であった。
じんわりと、心に響くラストシーンであった。>
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