スーパーノヴァのレビュー・感想・評価
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納得いかない
母を1人で必死に介護してました。
この彼のように進行がゆっくりであれば本人が色々考えることもできるでしょう。でも人によって進行のスピードは違います。この映画を見て、尊厳死を語るのは早過ぎる。もっともっと認知症について学んでからでなければ、意見を言うのははばかられます。
認知症になっても生きる意欲が強い人もいます。家族は本人がそれを望むなら身体介護はもちろん、心の介護もすることになります。醜態を晒すのが嫌?でも、それも人生です。
はっきり言って映画では全く認知症や介護の大変な部分は映されず、また、本人の意思すら美しいようにまとめられていましたけど、全く同意出来ません。
醜態晒しても、人に迷惑かけても、強い生への執着があることも人間として美しいことだと思います。
どう最後を迎えるか。
とても考えさせられる作品でした。
病気が原因で、日に日に忘れてしまう状況の中最愛の人とどう最後を迎えるか。
相手を思うからこその決断だけど、本当にそれが最良なのか、お互いに辛い最後だと感じました。
ハッピーエンドじゃないけれど、いい作品でした。
20年傍にいたからこその2人の考え
自分が認知症になったら?
パートナーが認知症になったら?
と。
ゆっくりと流れる時間のなかで、
2人の気持ちが痛いほど感じられた。
ラスト、見た人に委ねられた気がするけど、
自分は、やはりサムはまだ乗り越えられてなく、
でも忘れないで欲しいという言葉を
守ってるようにも見えた。
なぜこのタイトルを付けたのか。
《天文》超新星◆新星(nova)より大規模な激変星。大質量の恒星が一生の最後に一気に収縮して大爆発を起こす<中略>放出されるエネルギーはすさまじく、太陽が一生の間に放出するエネルギーに匹敵するとされる。また超新星爆発によって水素より重い元素が作られ、宇宙に放出される。
発音sùːpərnóuvə、カナ スーパーノウヴァ、分節super・no・va
だそうです。劇中でタスカ―が女の子にお話しするシーン。秀逸です。
冒頭の暗転から、静かなピアノの単音にストリングスが重なり、ほんの小さな白い点が表れる。
その白い点が少しずつ増えていき、天体だと分かる。真ん中にある小さな白い星が少しずつ少しずつ大きくなる。しかしそれは画面全体からすると、とても小さい。気づくか気づかないか。それがゆっくりと周りにある星より大きくなったかなと思ったところで消えてなくなる。
冒頭からここまで、約2分。
スーパーノヴァという言葉が持つ強さからみれば、
とてもとても静かで長い時間をかけたオープニング。
そして、この静かなスーパーノヴァこそがこの映画を
見事に表している。
ストーリーは実に地味。
ゲイのじいさん二人のロードムービー。
しかし、その地味な旅路の会話やしぐさ、エピソードなど
長い年月をかけ培ったであろう2人の絆が
なんとも素晴らしい。さすが名優。
病気を宣告されてから
君に迷惑をかけてまで生きていられない。
僕の看病のためにピアノを手放すなど耐えられない。
それならば僕は喜んで命を捨てる。
いや、
君といつまでもいることこそが僕の生きがい。
君がいない人生など耐えられない。
それならば僕は喜んでピアノの才能を捨てる。
慈愛に満ちた、激しい感情のぶつかりあい。
そしてラスト。
ピアノの演奏曲エルガーの「愛の挨拶」。
いま一緒にいる人を生涯大切にしたいと
とても強く胸に響いた。
静かな良作。
ゆっくりと落ち着いて観られました。
人間関係は複雑ではなくて
実はいたってシンプルだと思う。
無理やり複雑かつ面倒くさくしてるだけだと感じます。
トゥイッチさん、ファースさん
英国俳優さんはカッコいいな。
老ゲイカップルの別れを切々と!
名優2人の演技を堪能する映画です。
長年(20年)のゲイカップル。
作家のタスカー(スタンリー・トウッチ=実年齢52歳)
パートナーでピアニストのサム(コリン・ファース=実年齢61歳)
2人は大きなキャンピングカーで旅しています。
イギリス北部のハイランドを北上して湖水地方へ。
木立、丘陵の木漏れ日。
湖水へ向かう一本道は、目を見張るほどに美しい。
途中で茶色の中型犬ルビーと散歩に出て、行方不明になるタッカー。
なにか変です。
血相を変えるサムも少し変です。
サムの実家へ寄る。
そこにはタスカーの企画した懐かしい知人たちとのパーティー。
(タスカーはこのパーティーを自らの「お別れの会」と決めているのです。)
(そっとお別れしようと決めているのです。)
しかし、サムはタスカーの決意に気付いてしまいます。
サムの絶望!!悲哀!!
実はこの映画で私が一番に感動したのは、
ラストでピアニストのサムが弾くエルガー作曲の
「愛の挨拶」でした。
本当に美しい演奏(編曲)でした。
(この曲は本来ヴァイオリンの独奏曲です)
ピアノの編曲で聴いたのは初めてですが、サムの万感が込められていた。
きっとサムのタスカーへの想い。
タスカーは崇高な美しさに満ちたかけがえない存在・・・
サムにとってタスカーの代わりはいないのですね。
監督は敢えてタスカーの認知症の進行を具体的には描きませんでした。
(正直言って物足りないです。)
普通に歩ける。
普通に会話出来る。
(皮肉も冗談も言える)
けれど彼の創作ノートを見ました。
細かく精緻に書き込まれていたノートの終わりは、ミミズの這ったようなくねった線・・・
そして千切れたページ。余白・・・。
そのページが痛ましい!
タッカーの絶望感が迫るシーンでした。
サムにとってのスーパーノヴァ(超新星)は、タスカー。
永遠に彼に照らしてほしい。
彼に生きていてほしい!!
彼のいない世界は闇。
この映画は結論ではありません。
2人の人生のロードムービー。
道順を変えながら、立ち止まりながら、
旅を続ける・・・。
行けるところまで、行く・・・。
いつの日か、初めて会ったように、「挨拶」するでしょうか?
誰にも分からないのです。
人生の最後のページは!
コリン・ファレルが顔も含め全く違う感じで、さすが役者。二人の過去は...
コリン・ファレルが顔も含め全く違う感じで、さすが役者。二人の過去はほとんど語られないのに、ふたりの濃密な関係は感じさせる。
普通のカップルなら、情況に任せて、あえて言及しないこれからのことについて、二人は真正面から語り合う。ゲイゆえの向き合い方?
残酷な人の運命。
差別や偏見のない理想の世界、幸せな終末。
主演二人の静かな眼差し、ウィットに富んだ会話、心吸い込まれるような湖水地方の風景、どこまでも広がる星空の中、一瞬の煌めきを放ち消えてゆく星。繊細で静謐な描写に浸る幸せを感じさせてくれる良作です。
最も心打たれるのは、ゲイカップルである主人公達をごくごく自然に受け入れ、包み込み、愛し労る周囲の人々の態度。
サムの姪がタスカーから「スーパーノヴァ」の話を聴く場面では、物語の核心とも言える話の内容はもとより、「叔父の男の恋人」という(少なくとも今の日本では)特殊な存在に懐き、尊敬の念すら抱いているような姪っ子ちゃんの眼差しにやられました。
差別や偏見のない、理想の世界がここにあります。
基本的には異性カップルでも成り立つ愛の物語ですが、「子ども」という未来に繋がる存在が介在しない分、今という刹那を慈しみながら生きる二人の姿が心に沁みます。
サムと周囲の人々の愛に包まれて旅立ったタスカーも、彼との愛を胸に生きてゆくサムも、満ち足りた幸せな人生と言えるでしょう。
独り者としては羨ましい限りですが、コリンのお尻を冒頭で拝めた眼福を反芻しつつ(美しい風景より結局これか 笑)生きていきたいと思います。
性と病、そして死
パートナーのそれぞれの互いへの思いが静かな映画の世界観に染み渡っている。結論は無い。決断しただけ。でも、決断には覚悟が必要。覚悟には揺るぎない思いが必要。強い絆がある故にとても切ない。
自分ならどうするか
終始ドラマって感じで多少の効果音以外は湖水地方の美しい風景と渋い男性俳優2人の演技しかない。
長年連れ添ったパートナーが認知症で徐々に自分自身を失っていくのに直面し、彼からの提案でキャンピングカーで旅に出る。認知症に罹っているのは作家タッカー、そのパートナーのサムはピアニスト。お互いこの旅行に思惑を持っていそうな雰囲気が漂う。夫がアルツハイマー、妻が末期ガンのロードムービー「ロング、ロングバケーション」に少し似てるが、こちらは片方は見送るだけの立場でかつ、同性カップル。同性カップルならではの要素はないが、同性だからこその悲しみが伝わってくる。
最後、薬の入った箱を前に、サムが「ずっと一緒だ」と言ったので、こっちも2人で逝っちゃうのかと思ったが、ラストはピアノのリサイタルで終わったので、その選択は取られなかったのだろう。お姉さんの家であれだけ多くの友人に囲まれたのだから、その選択で良かった。
観た人みんなが、自分がサムなら、タスカーならどうするか、考えさせられる作品。
コリン・ファース、最初に見た「アナザーカントリー」は1985年頃?35年以上前か、美青年だったけど今回は優しいクマさんみたいだった。
難しいなぁ...
「愛しているなら許して欲しい…」って
いちばん難しいやつ。
「ブラックバード」だったり、「痛くない死に方」だったり…
自分の選択肢がそうなのか、
それとも映画業界に尊厳死的なテーマが多くなっているのか、
世の中の風潮なのか…
とにかく難しい問題。
逝く側、遺される側、どちらの気持ちも、現実にそこに在るから。
でも、もし、自分が生きる側なら、やはり、心の辛さを我慢して、
逝く側の思いを尊重するようにしたい。
逆なら自分の気持ちを優先させて欲しい。
日本の法律が許すならだけど…。
盛り上がりは然程ないが、淡々と描くことにより、リアルさが増しているし、
二人の心の繋がりの強さを余白で感じ取れる。
風景も美しく、二人の押さえた演技も素晴らしく、深く心に染みました。
切ないけれど
120本目。
芝居と分かっているけど、日常会話に感じてしまう演技力。
大切な、共有したい思い出も共有できなくなると分かってしまうと切ない気持ちなる。
愛しているからこその覚悟なのか、思いやりなのか、我儘なのかは観る人の自由だとは思うけど、あそこで匂わせているから、切ない気持ちに涙腺がと言いたい所だけど、後ろのオッサンのすすり泣きが気になり、そこまで感情を持っていけなかった。
失うのが悲しいなら、それは良きものだったのさ
認知症が進行する作家と、寄り添うピアニストの物語。お互いを深く愛するがゆえの深い悲しみと、相手を思うがゆえの決断。二人の絆の強さが十分と伝わってくるのは役者の確かな技量の証だ。
しかし、とりとめて新鮮味を感じることがないせいで退屈でもあった。おまけに、やがて来る別れを覚悟しての旅には悲壮感しかなく、ジメジメしすぎている。それがいいというのなら構わないが、「そういう話は何度も見てもいるし聞いてもいるし」という感想しかなかった。これが自分なら、身内なら、愛する人なら、と想像もしたが、物足りず。まるでエクスタシーを感じることができずじまいのセックスのようだった。
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