「長きにわたって親交のある名優どうしだからこそ表現できたもの」スーパーノヴァ 牛津厚信さんの映画レビュー(感想・評価)
長きにわたって親交のある名優どうしだからこそ表現できたもの
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ぱっと見、このタイトルからSFスペクタクルを想像してしまったが、本作はその真逆にある愛に満ちたヒューマンドラマだった。20年間連れ添ったパートナーどうしが繰り出す旅路。窓を過ぎゆく湖水地方の景色は息を呑むほど美しく、二人が交わす会話もウィットに富み、互いを思い合う温もりに溢れている。初めから不治の病をちらつかせるのではなく、会話の中でごくナチュラルにその要素を浮かび上がらせていく語り口も非常に巧みだ。その上、劇中で語られる”超新星”をめぐる逸話がとても神秘的な印象を刻む。曰く、かつて爆発した星たちがもたらした物質によって人間の体は生成されているのだと。この辺りから本作のタイトルが人の生命を象徴するものであることがわかってくる。そして運命の決断。タスカーは、パートナーの記憶の中で永遠に輝き続けることを選んだのだろう。観る側に様々な賛否を呼び起こす結末だが、その点も含めて深い余韻を残す作品だ。
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