劇場公開日 2021年7月1日

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「表面をなぞっただけのおきれいな映画」スーパーノヴァ Saeriさんの映画レビュー(感想・評価)

2.0表面をなぞっただけのおきれいな映画

2021年7月8日
iPhoneアプリから投稿

カップルの片方の痴呆症が進行している、その時に双方に生じる葛藤を描くんだ、というのは事前に明かされているこの映画の主題であった。
実際に観たら、事前情報以上の掘り下げがなかった。あの展開はありふれている。タスカー(患者)が、それを支えるサム(パートナー)が、時間をかけてどのように葛藤し、ぶつかり、あのような結論に至ったか、これがドキュメンタリーでなく作られた物語であるなら、もっと掘り下げるべきだった。美しい絵面と俳優の演技に委ねすぎだ。

深みの足りないひとつには、回想シーンを使わず、長セリフで説明をさせることも避けた撮り方があるだろう。彼らが作家として、ピアニストとして、これまでどのような人生を送ってきたか。どのような価値観の人物か。短くない時間にどのようにパートナー関係を構築してきたか。もしもっと描かれていたなら、彼らが葛藤から決断に至る過程を、鑑賞者も想像しやすかっただろう。

重要な主題でしたが、制作者には覚悟が足りなかったと思う。ゲイカップルであるということを殊更強調しなかったのはよかったです。

Saeri